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「こーじぃ、ヘルプ!」


休み時間、担任に呼び出されたと思えば何やら紙切れ片手に抱きついてきた。



「なぁにこれ?」

「地獄への切符〜」


助けて〜って首周りに腕が回されて、ぎゅうっと抱きしめられる。相変わらず俺の心臓は煩いけど、もう慣れたもんや。

視界の隅でヒラヒラ揺れる紙切れを奪い取れば、ワープロの硬いフォントで並ぶ文字列。


『10月20日、追試
40点未満は評定赤!!』


赤ペンで書かれた『篠田A!』の字から担当教諭の怒りがひしひし伝わってくる。



「アホやん、なにしてこんな怒らしたん?」

「提出物が溜まりに溜まってんだあ」

「出しや」

「無くしてもおた」



やから追試やって、と耳元で嘘泣きを始めるA。
ちなみに英語は赤点常習犯、40点以上取ってるのなんか見たことない。


「評定赤って、俺卒業出来ひんってこと?」

「せやなあ」

「また一年高校生か……ありやな」

「あほ!!」


どうせ年下の女子高生にちやほやされるとか考えてんのや、ほんまアホ!猿!

勢いのまま頭をひっぱたけば、不機嫌そうな顔で渋々離れていく。



「勉強しなきゃやなぁ…」

「せや、ちゃんとしぃや?」

「はあ、本気出すかあ。文化祭は参加したいし」



文化祭は11月の頭。
つまり、追試パスせんとAは文化祭不参加。



「なんかやる気欲しいわ、康二なんかくれん?」

「なんかって何よ。俺今月金欠やねんけど」

「えー?なんにしよ…」



腕を組んで真剣に考える様子に、
相変わらずイケメンやなぁなんて俺もアホになってまう





「あは、俺今めっちゃ良いこと考えてもうた」

「……やな予感」

「なんでぇ?」



ケタケタ笑いながら見せられたのは、Aがよく聞くお気に入りのプレイリスト画面。

1年の頃から2年連続廊下で弾き語りをしてるコイツは、今年も体育館裏を借りてちっちゃくライブをするらしい。



「今年は康二がボーカルな」

「はぁ!?」

「俺がギターで、お前がボーカル」

「む、無理や!」

「なーに言ってんねん本職。
Jrでバンバン歌っとるくせに、なんでここでヒヨる?」



何となく気恥ずかしくて、今までAの前でジャニーズっぽいことをしたことは無い。

歌もダンスも、ライブ見にこられた時は不可抗力やけど、それ以外じゃ滅多に見せてこんかった。


「最初で最後やん、俺にも見せてよ」



断りたいけど、『最初で最後』が引っかかる。
結局了承してもうた

7→←5



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だっちゃ(プロフ) - すがさん» ありがとうございます😊励みになります! (11月29日 1時) (レス) @page8 id: 69c0d47fe1 (このIDを非表示/違反報告)
すが(プロフ) - ワ、、もうすでに好きです、、、更新お待ちしております!! (10月4日 13時) (レス) @page5 id: eb76df11cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だっちゃ | 作成日時:2023年10月1日 18時

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