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「康二!篠田は?」
「ジャージ借りに行ったあ」
「遅ない?後5分でホームルーム始まんで」
そう指摘され時計を見れば、あいつが出て行ってから20分が経過していた。
「ほんまやん…ちょ、探してくる」
「おー」
遅刻した時は言い訳しといたるわ〜と頼もしい言葉を背中に受け、一つ上の階へ駆け上がった。
「なぁなぁ、今日の昼休みそっち行ってええ?」
曲がり角を曲がる寸前に聞こえた、甘ったるい媚びた声。
急いで急ブレーキをかけそっと柱から顔だけ出すと、
案の定廊下の窓に凭れるようにして立つAと、見覚えのある顔の女が2人並んでいた。
「昼なぁ…俺もう早退してるかも」
「え!なんでよぉ、お昼一緒に食べよ?」
「だって今日頭痛いんやもん、耐えられへん」
「月曜の朝いっつもそれやん、もう」
到底頭痛のしてるようには見えないヘラヘラした顔で、
拗ねた顔になった女の毛先をクルクルといじるA。
傍から見ればカップルにしか見えない、
登場人物が健全やったらな?
「Aが早退するなら未来もするぅ」
「お、しちゃう?」
「したら、うちくる?」
「え、いいの?」
「あかん」
「いてぇ!!」
気の抜けた後頭部を思い切りひっぱたくと、患部を抑えながらパッと此方に振り向いた。
「あ、康二。迎えきてくれたん?」
「お前もう5分前やで?」
「嘘!?」
一番近い教室の掛け時計を見て、Aがヤバい!と俺の腕を引っ張った。
「ちょちょちょ、俺トイレで着替えるから担任に上手く言っといてくれへん?」
「腹壊してますって?」
「もうちょいマイルドに!」
腹痛にマイルドもクソもあるかいな。
転けそうになりながら階段を一緒に駆け下りていると、
頭上から高い声が降ってきた。
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だっちゃ(プロフ) - すがさん» ありがとうございます😊励みになります! (11月29日 1時) (レス) @page8 id: 69c0d47fe1 (このIDを非表示/違反報告)
すが(プロフ) - ワ、、もうすでに好きです、、、更新お待ちしております!! (10月4日 13時) (レス) @page5 id: eb76df11cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だっちゃ | 作成日時:2023年10月1日 18時