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初のAの後ろはなかなか良いものだった。
振り落とされるんじゃなかろうかと心配したけど、そんな激しいわけなかった。そらそうだ。
緊張も吹き抜ける風と一緒にどこかへ飛んでいってしまって、純粋に楽しんでいればあっという間に目的地に到着した。
「はい、とうちゃーく」
「ここぉ?」
「うん」
辿り着いたのは、最近できたばかりの馬鹿デカイショッピングモール。服もご飯も映画もカラオケもボウリングも、ありとあやゆる娯楽が詰め込まれた施設だ。
呆ける俺を他所に、Aはさっさとバイクから降りる。
降り方が分からずわたわたしていると、見かねて手伝ってくれた。
「ありがとぉ」
「いいえの。どこ行く?」
「んー……」
場所を教えて貰えなかったから、なんにも考えてなかった。それに、困ったことにAと一緒ならどこでも楽しい。
「…ブラブラ、とか」
中坊じゃあるまいし、つまらんやろか?
提案してから不安になりおずおず見上げると、柔らかく微笑むAと目が合った。
「あり」
ぽんぽん、と、頭じゃなくて背中を軽く叩かれる。
…撫でて貰えんなら、ヘアセットしてこんかったら良かった。
「なんで不機嫌なったん?」
「別にぃ、行くでっ」
一瞬迷って、Aの袖を掴んで足を進める。
ケラケラ笑いながら着いてくるAはなんでもお見通しで、ちょっと悔しい。
早い早い、と小走りで横に並んだAは、俺の顔を覗き込んで少し意地悪な顔をした。
「素直に言うてみ?9割5分は叶えてやるんやから」
知ってる。
A俺の事大好きやもん。
でも、その『大好き』が俺と同じものなのかは、10年間分からずじまいやから。
それが年々、俺を臆病にさせてしまう。
「…撫でて」
「ん」
今度は背中じゃなくて、頭を優しく撫でられた。
それだけで、泣いてしまいそうなくらい幸せ。
本当はAにして貰いたいこと、もっともっと沢山あるんよ。めっちゃ我慢してるのに、何故かだんだん増えていくんよ。
9割5分か、
今日くらいは10割にしてくれんかなぁ
「A」
「ん?」
「俺、甘いもん食いたい」
「お、ええなぁ」
頭から手が離れて、こっちやで、とAが進む。
ポッケに突っ込んで無い方の手がAの体の横でユラユラと揺れていて、繋ぎたい、なんて。
「康二?」
「あ、うん」
言えるわけないけど
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だっちゃ(プロフ) - すがさん» ありがとうございます😊励みになります! (11月29日 1時) (レス) @page8 id: 69c0d47fe1 (このIDを非表示/違反報告)
すが(プロフ) - ワ、、もうすでに好きです、、、更新お待ちしております!! (10月4日 13時) (レス) @page5 id: eb76df11cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だっちゃ | 作成日時:2023年10月1日 18時