黒き瞳に白き華～百年の恋～ (ページ7)

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mmーside

倒れて来た少女を抱き止めた時、何とも言えぬ高揚を感じた。

ずっとこうしていたい…

そう思いながら見上げた空には美しい月があった。

mm「月が綺麗ですね…」

…言いながら、初めて掛けた言葉が愛の告白である事に気付いた。

少女の顔を覗いて見ると、顔を上げて驚いた表情を見せていた。

細い小さな顔に美しく通った鼻筋、形の良い眉、花弁の様な唇、そして最も印象的な目…
睫毛は長く、黒目がちな瞳は満天の星空が入り込んだかのように美しく輝いている…

…少し困った表情を見せたので、告白の意味はどうやら届いたようだ。

mm「お兄様といらしたのですか？」

ru「…はい…」

mm「よろしければご一緒にお探ししますよ。」

ru「…あ、いえ…兄には此処で待つ様言われましたの
　で…」

少し困って俯く少女の手を半ば強引に握り、眼下に見える賑やかな場所へ向かって歩き出した。

出店が立ち並ぶ場所まで来ると、少女の目はより一層輝き出した。

ru「まぁ…凄い…」

圧倒的な美しさの狭間に幼さも垣間見え、急に愛おしさが込み上げて来た。

…と、それと同時に自分達が周囲から注目を浴びている事に気付いた。

mm「…しまった…これは目立つな…」

私は咄嗟に近くにあった屋台から、お面を二つ手に取った。

mm「お釣りは結構。」

そう言って少女にお面を一つ手渡し、もう片方の手を握り

mm「少し速く歩ける？」

と聞いた。
少女は頷いたので、出店から少し外れて人の居ない所まで歩いた。
そこで二人はお面を付けた。

お面を付けた所為か、人目も憚らず手を繋いでゆっくりと歩けた。

お面を付けているので少女の顔はどんな表情かは見えないが、手を振り解く事も無いので少しは自分に対しての警戒心も解けたのだと思った。

mm「歩いたから喉が渇いたね？
　冷やし飴でも如何かな？」

ru「…あ、いえ…わたくしは…」

戸惑っている少女を他所に、手を引いて冷やし飴の出店まで歩いた。

冷やし飴を二つ買い、また人気の少ない道路脇へ向かった。

mm「さぁ、どうぞ。」

ru「…？…」

お面を取り、やっと出て来た美しい顔は、"きょとん"という表現がぴったりの表情をしていた。

…良家の子女は飲み方が分からないのだな…

私は冷やし飴の瓶に直接口を付け、そのままぐいと飲んで見せた。

それを見て、ぱっと笑顔が咲き、少女も私の真似をしようと巾着から美しいレースのハンカチを出した。

そしてハンカチで口元を押さえ、くいと一口飲んだ。