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職員「殿下、徳山家の那賀子様から本日の両国川の花
火、是非ともご一緒したいとの御連絡がござい
ましたが、いかがいたしますか?」
mm「忙しいので行けぬと申して下さい。」
職員「畏まりました。」
mm「花火か…見に行くか!」
大学の講義が終わり、自宅に着くなり徳山侯爵家の那賀子から花火の誘いがあった。
実はこの那賀子、私はとても苦手だ…
自尊心がやたらと強く、自我も強い、常に自分が一番でないと気が済まない人…
大方、親に皇族に取り入っておけとでも言われたのだろう…
mm「両国川まで花火を見に行きたいのですが、馬車
をお願いできますか?」
執事「畏まりました。お付きの者は如何程がよろしい
でしょうか?」
mm「できれば一人居れば…」
執事「畏まりました。」
私は両国川の花火の特等席を知っている。
幼き日、両親にお忍びで連れて行ってもらった場所…
小高い丘の上から両国川が一望できる。
両親は公務で忙しいから、毎年は連れて行けないので
それからは一人で行くようになった…
今年も私の特等席へ行ってみると…
其処には既に先客が居て、仕方無くその近くに馬車を停めた。
しかしながら、その場所はあまり景観が良いとは言えず、態とらしく菊の御門をちらつかせ場所を空けて貰うこともしたくなく、何処か良い場所は無いかと外に出た。
侍従には外の空気を吸って来るとだけ伝え、馬車から降りた。
生憎、何処を探してもやはり例の場所を上回る所など無く、結局先客の居るあの場所へ行ってみた。
私一人なら座って見ている位は気付かれないだろう…
そんな事を考えていると、
「お兄さま」
と呼ばれた…
ru「お兄さま!
わたくしも外で花火が見たいから馬車から降ろし
ていただけて?」
鈴の鳴るような美しい声に誘われるように、私は馬車のドアに手を掛けた。
私が手を差し出すと、白く美しい手が伸びて来た。
馬車の中から出てきたのは、これまで見た事のないような美しい少女だった。
驚いた顔でずっと私を見ているが、その大きな瞳に吸い込まれてしまうのではないかと思う程であった。
私は息をするのも忘れて少女を見つめていた。
その姿はまるで一輪の美しき白き華のようだ。
ru「申し訳ございません…お人違いをしてしまいまし
た…」
少女が馬車の中に戻ろうとしている事に気付き、私は思わず少女の腕を掴んで引き寄せていた。
少女は私の方へ倒れて来た。
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作者名:琥太 | 作成日時:2020年10月14日 10時