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小石川町
鬼灯市は小石川の源覚寺で行われるが、近くの伝通院では朝顔市が行われていた。
真伊子は朝顔市も見たいと言うので、伝通院へも行く事にした。
先ずは源覚寺の鬼灯市へと向かった。
馬車の中では、真伊子と私の為に作った浴衣の話をしていた。
ru「殿下を驚かせたいので、採寸は父を殿下にお見立
てしましたの。
背丈はほぼ同じ位ですし、細身ですし、丁度宜し
いかと…
…でも、ぴったりで安心致しましたわ。」
ru「それに…色も柄もとても良くお似合いですわ…」
mm 「有難う。浴衣など幼い頃以来だよ。」
ru「わたくしこそ、この様な素敵な浴衣を…有難う御
座います。」
mm「礼には及ばないよ。
本当に良く似合っているね…」
ーガタン
mm「源覚寺に着いた様だ。 さぁ、降りよう。」
何時もの様に御者が階段を出し、私が先に降り、階段の隣に立って真伊子を降ろす。
真伊子の手を取り歩こうとしたら…
其処にはもう人混が出来ていた。
「立派な馬車だなぁ!」
「何とまぁ、美しい人が降りて来た!!」
「良い匂いがするなぁ…」
…しまった…焦る私とは対照的に、真伊子は嬉しそうに終始にこやかだった。
ru「殿…!」
殿下と呼ぼうとして、真伊子は我に返った。
すると、私に顔を近付けて恥ずかしそうに
ru「…今だけ…お名前でお呼びしても宜しいでしょ
うか…?」
mm「勿論!」
私は嬉しくなった。
思わず真伊子の手を引き、
mm「さぁ真伊子、彼方から鬼灯を見て来よう!」
と、楽し気に歩き出した。
真伊子も、
ru「はい…蓮仁様…」
私を名前で呼んでくれた。
私は幸福の絶頂で浮かれていた…
事実、真伊子となら何処へでも一緒に行きたい、ずっと一緒に居たいと思った…
其れを遠くから凍り付く様な目で見ている者が居たとも知らず…
「わたくしが何度お誘いしても一度もご一緒して下さ
らなかったのに…」
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作者名:琥太 | 作成日時:2020年10月14日 10時