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abーside
ab「大丈夫だよ。僕も花火楽しみにしてるんだから…
さぁ、外に馬車を待たせてあるから行こう！」
こうして僕の秘めたる思惑を乗せて馬車は両国川へと向かった。
ru「今日は暑かったから、先ずは冷やし飴を飲みたい
ですわ！」
ab「真伊子はさっきから食べ物の話ばかりだね(笑)。
…いいよ、好きな物を買ってあげるから。」
ru「あら、だってお友達から聞いてとても楽しみにし
ていたのですもの！
初めて聞くものばかりで、全部食べたい程ですわ
よ！」
まだ少しあどけなさの残る真伊子だが、それでもとても愛おしい。
暫く行くと川から少し離れ、小高い丘へ着いた。
ここは川沿いの賑やかな喧騒からも離れているし、花火もよく見える。
そして何よりも二人きりになるには最高の場所だと思った。
ab「真伊子、冷やし飴を買って来るから、ここで待っ
ていなさい。」
ru「待って、お兄さま！
今日はお付きの者も居ないのよ？
一人では寂しいわ…
それにわたくしもご一緒したい…」
真伊子と二人で賑やかな中を歩いたらとても楽しいだろう…
真伊子のような美しい娘が隣に居たら誰もが振り向くだろう…
しかし、僕は美し過ぎる真伊子が人目に付く事をとても恐れた。
これは真伊子が幼い頃から注意して来た事だ。
昔から真伊子は一際美しく、人目を引いた。
十五歳を過ぎると美しさは更に増し、僕としては日々頭を悩ませている。
“何処の誰かに見初められて婚姻を申し込まれたりでもしたら厄介だ“
ab「直ぐに戻って来るから馬車で待って居なさい。」
ru「…分かりましたわ…早くお戻りになってね…」
ab「うん、では行って来るよ。」
僕は少しホッとして真伊子を馬車に残して外に出た。
御者には直ぐ戻ると告げて足早に出掛けた。
…まさかあんな事が起こるとは思わずに…
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作者名：琥太 | 作成日時：2020年10月14日 10時
