検索窓
今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:12,448 hit

82本目 ページ35

「うぁ……ぁ」


しん、と静まり返った部屋にまふまふさんの泣き声だけが響く。


私は2人の前まで歩いた。
体が重い、けれど歩け。


「これを返します」


私は桜が描かれた羽織を2人に渡した。
するとまふまふさんが私の顔を見て、羽織を受け取る。


「それとこれも」


私は白い衣を脱いだ。


「お、おい何やってんだ!」


そらるさんは急いで自分の衣を脱いで私に羽織らせた。


「別に裸になるわけじゃないので……はい!」


私はそらるさんに衣を渡す。
2人はなにが起きたか分からない、と言う顔をした。


「……衣装部屋の衣が破かれている中、これだけは綺麗に残されていた。
できなかったんだよね?桜華さんが纏った美しいものだったんだから」


私は出来る限り、胸を張った。
桜華さんに負けないように。けれど私らしくあるように


「女神として命じます。桜華さんのことをずっと忘れないで。
桜華さんの為だけに生きなさい」


「は⁉お前、何言ってんだ」


「Aちゃん……?」


この命令は2人のためだけではなく、私のためでもある。
私の周りの誰かが辛そうにしているなんて、私にはきっと耐えられない。


「この命令は私のための命令。
だけど、あなた達のためでもある。
だから泣かないで、笑って?」


私は手をまふまふさんに差し出した。


まふまふさんは涙を拭い、そして私の手をとった。


「かしこまりました、女神」

83本目→←81本目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なつの(プロフ) - ぽんぽこさん» ありがとうございます!私もこのお話書いていて楽しかったです。ぽんぽこさんにも楽しんでいただけで嬉しいです!コメントありがとうございました! (2020年1月6日 8時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぽこ(プロフ) - 長文失礼しました! (2020年1月6日 1時) (レス) id: c596b916dc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぽこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後の方を読みながら少し泣いてしまった...。個人的にこの話がすきで、終わってしまったのは悲しかったけど、浦田さんend見れたから良かった!ありがとうございました! (2020年1月6日 1時) (レス) id: c596b916dc (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - ふごっぺさん» 返事が大変遅くなってしまいました!!ありがとうございます! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ふごっぺ(プロフ) - 個人的にはうらたさん落ちがいいなと思っています。 (2019年10月5日 10時) (レス) id: 78ff944084 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なつの | 作成日時:2019年9月30日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。