59本目 ページ12
うらたサイド
「やっと寝たか」
となりで穏やかな寝息を立てているAを起こさないようにそっと起き上がる。
「……坂田まで寝るなよ」
2人でAの不安を消してやろう、とかすみと協力した。
かすみは信じられる。
侍女頭は剣士と同じように女神への忠誠心が強いのだと言う。全くその通りだ。
「ったく、疲れてんならそう言え」
彼女の目の下にはうっすらとくまがあった。
寝不足やら疲労やらがたまっていた証だ。
(本当は俺が救いたかったんだけどな)
かすみに頼むのではなく、俺がこいつの不安をぬぐいたかった。
この世界に来て、女神の仕事もできるようになって、立派に成長している。
誰もがきっと彼女を女神と認めているだろう。
(女神になんて、ならなくてよかったのにな)
就任するときは、こいつならきっとこの時代を明るく照らせるだろうと思っていた。
だけど、女神になった途端こいつは美しく咲き誇った。
彼女との距離があからさまに遠くなってしまった。
本当はもっともっと近くにいたいのに
頼むから、俺の側から離れるな。
俺の腕の中にずっといてくれ
なんて言えば彼女は女神をやめて、俺の側にいてくれるだろうか。
少し苦しそうに呻く彼女の髪を撫でる。
すると気持ちよさそうにまた寝息を立て始めた。
「……今だけでもいい夢を見てくれ」
俺は軽く、Aの髪に口付けた。
「あらあら」
「……かすみ、見てたのか」
かすみが楽しそうに笑って立っていた。
俺は静かにAから離れる。
「うらた様は、剣士以上の思いを女神に持っていらっしゃるんですか？」
「……そうだな」
「ふふ。女神は鈍感ですので、その思いにいつ気付くのでしょうか」
「気づかなくていい」
かすみが意外そうな顔で俺を見た。
そして笑った。
「お気持ちご察しいたします」
では、と一礼してかすみは部屋を出た。
(いいんだ、俺の気持ちに気付かなくても)
AとAの1番好きなやつと思いが通じ合えば、それでいい
きっと、かすみも同じなのだろう。
主人が幸せであればそれでいいと思ったのだろう。
気持ちよく寝ている可愛らしい彼女の顔を見て、俺はふと思った。
女神ではなくなった時、彼女はどうするのだろう、と
俺はふっと笑った。
「俺がお前を預かってやる」
当然だ。
彼女が愛おしい人を見つけるまで、いや、この世からいなくなるまで俺がお前を預かってやる
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なつの(プロフ) - ぽんぽこさん» ありがとうございます！私もこのお話書いていて楽しかったです。ぽんぽこさんにも楽しんでいただけで嬉しいです！コメントありがとうございました！ (2020年1月6日 8時) (
レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぽこ(プロフ) - 長文失礼しました！ (2020年1月6日 1時) (レス) id: c596b916dc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぽこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の方を読みながら少し泣いてしまった...。個人的にこの話がすきで、終わってしまったのは悲しかったけど、浦田さんend見れたから良かった!ありがとうございました! (2020年1月6日 1時) (レス) id: c596b916dc (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - ふごっぺさん» 返事が大変遅くなってしまいました！！ありがとうございます！ (2019年12月25日 16時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ふごっぺ(プロフ) - 個人的にはうらたさん落ちがいいなと思っています。 (2019年10月5日 10時) (レス) id: 78ff944084 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつの | 作成日時：2019年9月30日 23時
