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49本目 ページ1

口から漏れ出る空気が震えているのが分かる。


陽の宮へ帰るために乗っている馬の上で、これからのことに頭を悩ませる。


(どうすればいい……?
まずは自分の穢れを祓って、そのあとまふまふさんに……あ、その前にお務めが先)


「おい」


頭の上から聞こえてきた少し低めの声に、はっとする。


「はい!なんですか?うらたさん」


少し目線を上に上げると不機嫌そうなうらたさんがいた。


1人で馬に乗れない私はうらたさんに手綱を引いてもらっている。


「何考えてんだ?」


「へ!?ん〜……お腹空いたなぁって」


誤魔化しが効く相手でもないのに、つい嘘をついてしまった。


(わざわざ言って心配かけたくないし、なによりこれは私の問題だしね)


少しうらたさんの視線に棘を感じながらも、まっすぐ前に向き直った。


「……ばか」


「へ……?」


もう一度うらたさんを見ようと頭をあげようとしたが、それは叶わなかった。
うらたさんが私の頭に顎を乗せていたから


「……うらたさん、そうやって私の身長より高いアピールやめてください」


「あぴーる……?
実際お前よりも高いからな」


少しだろうが!!
と、心の中で悪態をつく。
声に出さないだけまだえらい


「……無理すんなよ」


むすっとしていた私にとびきり優しい声が聞こえる。


「お前には俺たちがいる。
陽の宮の誰も信じられなくていい。
だけど、俺たちは信じろ。絶対に守ってやる」


そう言ってうらたさんは私の頭から顎を離す。


どうしてだろう。
うらたさんだけじゃない、坂田さんもそうだ。


2人の放つ言葉には得体の知れない信頼感がある。


信じよう。2人のことを
こんなにも力強く私をみてくれるのはきっと、うらたさんと坂田さんだけなんだから


(私も守る。大事な人たちを)


何をかけてもこの2人を


私は胸に覚悟を決めると、真っ直ぐに前を向いた。
陽の宮まであと少しだ

50本目→



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なつの(プロフ) - ぽんぽこさん» ありがとうございます!私もこのお話書いていて楽しかったです。ぽんぽこさんにも楽しんでいただけで嬉しいです!コメントありがとうございました! (2020年1月6日 8時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぽこ(プロフ) - 長文失礼しました! (2020年1月6日 1時) (レス) id: c596b916dc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぽこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後の方を読みながら少し泣いてしまった...。個人的にこの話がすきで、終わってしまったのは悲しかったけど、浦田さんend見れたから良かった!ありがとうございました! (2020年1月6日 1時) (レス) id: c596b916dc (このIDを非表示/違反報告)
なつの(プロフ) - ふごっぺさん» 返事が大変遅くなってしまいました!!ありがとうございます! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
ふごっぺ(プロフ) - 個人的にはうらたさん落ちがいいなと思っています。 (2019年10月5日 10時) (レス) id: 78ff944084 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつの | 作成日時:2019年9月30日 23時

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