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10本目 ページ10

「悪かったな。大きな声出して」


ぽんぽんっとうらたさんに頭を撫でられる。
先程怒られたのに嫌な感じはせず、むしろ安心感を覚えた。
きっとさっきのお叱りは、私のことを思っての言葉だ。その瞳を見ていて気付けた。


「もー!うらさんばっかずるいやん!
俺も撫でる!!」


「へ⁉わぁっ!」


少し頬を膨らませた坂田さんが、横から私の頭を撫でる。
というよりかき回した。おかげさまで髪がボサボサに。


「あ、ごめん!」


「あはは〜。大丈夫ですよ」


簡単に直せるので!と言いながら、お団子にしていた髪を解く。
ここにきた時点で少し崩れていたから、ちょうどいいのかもしれない。


私は無難にサイドに結んだ。
これだったら簡単で浴衣にも合う。


私が髪を直している間、坂田さんとうらたさんは驚いたようにこちらをじっと見ていた。


「な、なんですか?」


「いや…」


「めっちゃ綺麗やね」


歯切りの悪いうらたさんとは対照的にストレートに想いを口にする坂田さん。
先程から軽く言われていたその言葉と違って、今度は重々しい雰囲気を醸し出している。
だからだろうか。私の頬が徐々に赤くなってしまうのは


「へ⁉な、なんですか急に」


「いや、髪ほどいた時に感じた気配がそっくりやってん」


「け、気配……。あれ?そっくりって誰に、ですか?」


誰と比べているのだろう。
うらたさんと坂田さんは2人で顔を見合わせながら神妙な面持ちをしていた。


そしてうらたさんは意を決したように大きな声を出した。


「よし!月の宮に行くぞ」

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なつの(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!大変お待たせしてしまいました。これからもぜひよろしくお願いします!コメントありがとうございました。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - すごく面白かったです。応援してます。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつの | 作成日時:2019年3月24日 14時

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