43本目 ページ45
埃っぽく、湿っぽい部屋の中。
その真ん中に綺麗な男の人が寝ていた。
額に汗をかき、苦痛に顔を歪め、時々唸っているその姿はとても痛々しい。
「まーしぃ、女神様連れてきたで」
センラさんはその人の元へと行き、膝をついてその手を取った。
相方さんは目を開けるが言葉を出すことはしない。
きっと口を開くことも辛いんだ。
「女神様、お願いします。
まーしぃを助けたって」
私はそっとセンラさんと相方さんの元へと近づいた。
近くまで来た時、相方さんはやっと私に目を向ける。
その瞳に射抜かれて思わずぐっと動きが止まってしまった。
なんて強く美しい瞳なのだろう。
彼の目には生命力が満ちている。
それはきっと人間にとって何よりも尊い。
「……坂田、うらた。儀式の準備を」
静かに放った言葉を2人は理解し、それぞれが動き出す。
なんて優秀な剣士なのだろう。
私もしっかりしなければ。
私は静かに横たわっている相方さんに近づき、その手を取る。
「話さなくていいです。反応もいらない……はじめまして。
最近女神になりましたAです。
センラさんからあなたを助けて欲しいと言われました。
センラさんには国と民のためだと言ったけれど違う。
私はあなたを助けたい」
堂々と本音を打ち明けた私にセンラさんは目を見開き、剣士の2人は静かに私に向き直る。
きっと2人はとっくに気づいていたのだろう。
……私が1人の人間として彼を助けたいと思ったことを
「センラさんはあなたを家族だと言いました。
私はもう二度と家族に会うことはない。
だから、あなたたちの幸せを私は祈りたい」
私は立ち上がり、身なりを整える。
髪を結い直し、唇に紅を塗る。
それだけでいい。
それだけで、神々に髪を与え、唇から神力を与えることを伝えることができる。
「始めましょう」
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なつの(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます！！大変お待たせしてしまいました。これからもぜひよろしくお願いします！コメントありがとうございました。 (2019年9月23日 7時) (
レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - すごく面白かったです。応援してます。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつの | 作成日時：2019年3月24日 14時
