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「準備できたで」
「ありがとうございます！……うらたさん」
私はそっとうらたさんに、小さなツボのようなものを渡した。
このツボは疫壺と言って、私が鈴を鳴らすたびにこの中に穢れが入っていく。
うん、原理が全然わからないけれど便利な道具だ。
うらたさんは疫壺を私から受け取り、斜め後ろに立つ。
さぁ準備は整った。
「それでは始めます」
私の声は廃れた町によく響く。
そのおかげだろうか。
建物に寄りかかっていた人たちが、正気のない目でこちらを見ている。
そんな中、私とうらたさんは歩幅を合わせて一歩ずつ進んでいた。
浄化の儀はいたって簡単。
鈴を持った人、疫壺をもった人の2人が歩幅を合わせてゆっくりと歩く。
その時に小さな小槌を鳴らす必要があるため、この儀式は最低でも3人必要だ。
「ん……はぁ」
「大丈夫か？」
「は……平気です」
始めて20分ほどで私の体は悲鳴をあげた。
それはそうだろう。
この儀式はあくまで疫壺に穢れを入れること。
つまり、鈴を持った人が穢れを一度体内に取り込み、鈴を鳴らして疫壺に体内の穢れを移す。
この儀式での私の役目は『依り代』。
穢れを閉じ込めるために、自分の体を介さなければいけない。
「くっ……！女神、耐えろ。あと少しだ」
「はい！」
うらたさんも辛いのだろう。
額に汗が浮かんでいる。
儀式開始から40分。
広範囲だったため、時間がかかったが、私たちは無事に儀式を終えた。
「はっ……はっ……よかっ、たぁ」
「おわっ！大丈夫か！！」
前に倒れかけた私を、うらたさんが片手で支える。
心配げに覗き込む美しい顔を見て、申し訳なさが募った。
私はいつも彼に心配をかけている。
「……うらたさん、ありがとう」
「…っ！べ、別に仕方なくだし、そもそもお前の方が疲れてんだろ。他人の気遣いまですんな」
きっとこれも照れ隠しの裏返し。
なんだか微笑ましいな。
「汗かいたので、顔洗ってきます！近くに川がありましたよね？」
「あぁ、あったが……俺も行こうか」
「いいえ。うらたさん、疲れているでしょう？だからゆっくり休んでてください」
「はぁ？それはお前も一緒」
「行ってきまーす！」
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なつの(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます！！大変お待たせしてしまいました。これからもぜひよろしくお願いします！コメントありがとうございました。 (2019年9月23日 7時) (
レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - すごく面白かったです。応援してます。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつの | 作成日時：2019年3月24日 14時
