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27本目 ページ27

「……お前にはまだ教育が必要だな。
なおさら剣士になる理由が増えた」


「は⁉ちょっとまって!」


うらたさんを私の剣士にすれば、きっとしごかれる!
そして毎日毎日、小言を……


「あ、のやっぱり考え直して」


「女神」


すっと耳に響いたよく通る声。
思わずそちらを凝視した。


「どうか俺を剣士に」


いつ間にか体勢を変えたらしい。
片膝をついて、私に向かって敬意を表すかのように頭を下げている。


「慈悲深き女神はきっと他のものを剣で貫くことに抵抗があるのだろう。
ならば、代わりにこの俺が他のものを切り裂こう。
女神が下した処断、この俺が全て受け持つ」


その言葉通り、私を貫くように見るうらたさん。


そんなこと頼んでもいいのだろうか。
私の処断を彼が受け持って仕舞えば、民の反感も仲間からの憎しみも全てがうらたさんに向かってしまう。


「そんなのって」


ダメ、と口を動かそうとしてうらたさんの指のおかげで開くことすらできなかった。


「俺はなにも、あなた以外を貫くとは言っていない。
……必要であれば女神、あなたをも貫こう」


本気だった。


その目も、口調も態度も、全てが本気だ。



「いつまでも無知でいるな。
無知とは一番怖いぞ。民からの不信を買いかねない。
だから俺がお前を貫こう。守られるだけではダメだ。
いつ何時、攻撃されても良いように、自分で身を守らねば」


なにも言えない。


だって、その通りなんだから。


剣士とは守ってくれるもの。
そんなものただの偏見だ。


時に、主人を貫くこともしなければ、きっと本当の意味で主人を守れないのだろう。


……今、覚悟ができた。
剣士に貫かれる覚悟


「……うらた」


「はい」


「私の剣となりなさい。
そして、私が女神であれるように私をあなたの持っている剣で貫きなさい」


「仰せのままに」


私に頭を下げるうらたさんを見る。


これでやっとスタートラインに立てた。
ここからが本当のお仕事だ。

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なつの(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!大変お待たせしてしまいました。これからもぜひよろしくお願いします!コメントありがとうございました。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - すごく面白かったです。応援してます。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつの | 作成日時:2019年3月24日 14時

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