検索窓
今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:24,293 hit

14本目 ページ14

「重い!」


「まぁまぁ落ち着いてくださいA様。
ほんの少しですので」


少しってどのくらい、と早くも弱音を吐く私を無視して、女の人は私を先ほどのところへと連れて行った。


「真冬様、彼方様。
大変お待たせいたしました。
A様のお着替えを終え、連れてまいりました」


なんだかすごくよそよそしい。
女の人が2人に対する態度はあからさまに下の人が上の人に対する態度。
ということは、ここは身分関係がはっきり出る場所なのだろう。
どうもしっくりこないなぁ。


「お疲れ様!ごめんね、急にこん……な」


まふまふさんは部屋の奥から顔を出し、こちらに言葉を投げかけた。
しかし途中からその声を小さくしていく。


「すごい……」


「え?」


「女神そのものだな」


「はい⁉」


部屋に入ってきた私を見て驚く2人。
うらたさんと坂田さんは不思議そうにこちらを見ていた。


「少し着ただけなんですが」


「それのせいだろうな。
着物を着ればきるほど、女神の力はより一層力を増す。
お前の周りを包む力はさっきよりも大きいぞ」


「そうなんですか」


そんな不思議なことが起こるのか。
ここは常識では計り知れないことばかりだ。


「よし!こっちも準備終わりました!
Aさん」


ふいにまふまふさんに名前を呼ばれ、そして右手を取られる。
突然のその出来事にドキッとした。


「この器に触ってもらえますか?」


「?はい」


触るだけでいいのだろうか。
私はそっと大きな釜に触れた。


何も起こらない。
そう思っていたのに、その釜は急に光り出した。私が触れているところから徐々に強い光を発する。


「え⁉な、なに」


「手は離さないで」


怖くて離そうとした手をそらるさんが声で制する。
そんなことを言われても怖いものは怖い。
手を離したい……!


「大丈夫だ」


「うらたさん……」


「もう少しだけ、耐えろ」


「……はい!」


釜に触れている手にうらたさんは手を重ねた。
そして私の肩を抱く。
たったそれだけのことなのに、私の心は安心してしまった。

15本目→←13本目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なつの(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!大変お待たせしてしまいました。これからもぜひよろしくお願いします!コメントありがとうございました。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: 1923d39783 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - すごく面白かったです。応援してます。 (2019年9月23日 7時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なつの | 作成日時:2019年3月24日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。