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七の月の三回目の休息日は、どうやらいい天気になりそうだった。
すでに天職を与えられている十歳以上の子供たちも、この日ばかりは幼い頃に戻り、夕食の時間まで遊びまわることが許されている。
ユージオとキリトもいつもは他の男の子らと一緒に魚を釣ったり、
剣術の稽古のまねごとなどをして過ごすのだが、
今日はまだ朝靄も消えないころから家を抜け出し、村はずれの古樹の下でアオイとアリスを待っていた。
「……遅い!」
自分もユージオを数分待たせたことを棚に上げ、キリトがぶつぶつと毒づいた。
「まったく女ってのは、約束の時間よりも身支度のほうが優先なんだからなもう。
___そんであと二年もすれば、お前のとこの姉ちゃんみたく、服が汚れるから森になんか入れないとか言い出すんだ」
「しょがないよ、女の子なんだからさ」
苦笑混じりにそう言いつつ、ユージオはふとキリトに言う二年先のことを考えた。
アオイは自分たちと同じ天職についているが、アリスは身分的には天職につかない子供の範疇なので、周囲は彼女がユージオたちと行動することを黙認している。
しかしもともと彼女は村長の娘という、村の女性たちの規範的存在となることが半ば決定している立場なのだ。
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さばとはちわれ2号(プロフ) - ありがとうございます!これからも頑張っていきます!! (2020年3月25日 15時) (レス) id: 1e29d08f47 (このIDを非表示/違反報告)
華月 - 題名に心を惹かれて読んでみましたが、とても面白いです!更新頑張ってください!! (2020年3月11日 8時) (レス) id: cdafea63d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さばとはちわれ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/siotaaki
作成日時:2020年2月17日 22時