《ヒプマイ》したい、されたい《リクゆるぼ》

好きって《言われた》＊FP ページ8

✱シブヤ-Fling Posse


飴村乱数＊easy R
赤く染まるビル群を、乱数くんと2人で歩く。人混みに消えてしまわぬように手を引いてくれる彼の手は、見た目に反してしっかりと男だった。
「おねーさん」
歩道橋の上で止まり振り返る乱数くんの大きな瞳が、私を捕らえて離さない。
「おねーさん。僕わかったよ」
いつもと雰囲気の違う真面目な彼から目が離せない。僕ね、と続ける彼は私から手を離す。
「おねーさんのこと手に入れちゃったら離せない。だから、嫌だったらここで言ってよ。」
夕焼けと彼の瞳が飽和して、私はもう一度好きだと告げる。
「そっか。……僕もね、おねーさんのこと好きだよ。だから、僕を離さないで――――A


夢野幻太郎＊Phantom
「好きですよ」
真剣な顔をして向き合う彼に、今度こそ本当なのではないかと錯覚する。
しかしまた、嘘なんですけどね。と笑われてお腹から何かが煮えたぎる音がした。
「もういいですよ！ 夢野先生は嘘ばっかです」
勢いよく立ち上がる私を見て、わざとらしく驚いてみせる。私が部屋を出ていこうとドアノブを回すと
「本当の気持ちが分からないんですよ」
落ち込んでいるような声が聞こえ振り返ると、彼はニッコリと笑い、もちろん嘘ですよ。とあっけらかんと言う。
いつかそのマスクを剥がして、貴方の本心に触れたなら。その時はちゃんと、気持ちを伝えてくれるだろうか


有栖川帝統＊Dead or Alive
公園のベンチで、ダンボールに包まる彼に、家に帰ろうと提案する。
彼とは恋人同士で、つい一昨日までは彼が私の家に居候をしていたのだが、一昨日何故か彼が出ていってしまったのだ。何故かは分からず、いつもの公園を訪れるとやはりそこにいた。
「だーいーすー」
頭までダンボールを被り拗ねた子供のようにしている彼に困っていると、今度は彼から嗚咽が聞こえる。
「ごめん……俺、お前に迷惑ばっかかけて」
彼氏なのに、そう付け加える彼に、なんだそんなことか。と呆れる。確かに彼に貸したお金は戻ってきてないし、彼は料理も出来なければ家事全般がダメという典型的なダメ男だ。でも……
「でも、帝統が居てくれたら楽しいし、私は嬉しいよ」
彼はその言葉にやっと顔を出し、ちゃんとお金返す。家事とかする。と言うから、出来るだけでいいよ。と甘やかしてしまう。
「本当に好きだから、ちゃんとさせて」
彼はのそりと起き上がり、私の指にキスを落とした。
こんな貧乏な王子様は、世界で彼だけだ
私だけの、特別だ


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