《ヒプマイ》したい、されたい《リクゆるぼ》

看病《された》＊FP ページ32

✱シブヤ-Fling Posse

飴村乱数＊easy R
目を覚ますと高熱が出ていた。
今日は乱数くんプロデュースのお洋服の試着を任されていたのに。私はLINEに｢体調不良で行けません。ごめんなさい｣とだけ送り布団に潜る。
着信音に目を覚ますと、彼からだった。
｢あ〜繋がった！Aちゃん大丈夫？｣
スピーカー越しの元気な声に、頬が緩む。
｢もしかして起こしたかな？ごめ〜んね｣
大丈夫だよ。という声は掠れたけれど、彼は気にもとめずに続ける。
｢今からそっち行くね！それだけ｣
ばいばい。という声に飛び上がる。洋服選びで脱ぎ散らかした服を片付けなければ。
それから彼が来るまで私は幸せな片付けの時間に追われた。だって今日、彼に会うことは諦めてたから。
もちろん、いきなり玄関に現れた彼にはとても怒られたけれど。


夢野幻太郎＊Phantom
｢はぁ、風邪ですか｣
｢つらい｣
｢麿は風邪を引いたことがないのでその気持ちはわからんでおじゃる｣
布団の横でおちゃらける彼に、嘘つき。と言葉を漏らすと、知っているでしょう。と返される。
｢頭痛い｣
泣き言を吐くと、嘘ですか？と問うた彼が少し面倒くさくなり無視をした。
｢機嫌を直してください。そうだ、小生はお粥を作るのが得意なんです｣
｢お粥？｣
｢えぇ小生が風邪をひいた時におばあさんが作ってくれたんです｣
今度は本当だと確信する。彼と居て、嘘と本音の見分けが少しついてきた。それを抜いても彼の表情は柔らかく、今は亡き彼の育て親を思う。
｢食べたいです｣
少し笑ってみせると、彼も少し微笑み承諾する。
彼のお粥は、懐かしいような優しい味がした。


有栖川帝統＊Dead or Alive
｢おい！大丈夫かよ｣
平日の夕方、普段2人で昼食を取る公園に私が現れずお腹を空かせた彼は、合鍵を使い私の部屋に上がり込んできた。
そこでこの時間いるはずのない私があろう事か寝巻きで冷却シートをおでこに付けているものだから動揺を隠せずにいた。
｢大丈夫……じゃない｣
少し冷めたココアが入ったマグカップを両手に返答すると、彼はそのマグカップを取り上げテーブルに置き、視界が反転したかと思えば彼に姫抱きされていた。
｢帝統！？｣
暴れてもビクともしない体にときめく間もなく、彼は私を布団の中に沈めた。
｢休め！おやすみ｣
状況整理の時間もなく、私はお腹をポンポンと叩く彼の言葉に従い瞳を閉じるのだった。
起きると、彼がしたであろう雑な家事の痕跡でキッチンが荒らされていたのは言うまでもない。

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