ハイライト

逆転 ページ13

「そういえば、今日だな」
車で来たから駅方面とは反対に向かう足。
コインパーキングの愛車を目指した。


Aが助手席に座るとすぐに取り出したスマホ。


「今日？なんの話？」
「フォトコンテストの結果掲載」


「…そっか、今日だっけ。どんな作品が選ばれたんだろうね」

車内は暗くて顔はよく見えないけど、Aの声は沈みきってる。


スワイプスワイプ。

「帰らないの？」
「あとちょっと………おっけ、シートベルトした？出すよ」


操作していたスマホをAに渡してサイドブレーキを下げた。







泣き顔が見たかったんじゃない。
俺は笑って欲しかったのに。
だから俺がAの代わりに笑った。



スマホの画面にはAの作品。

ピンク色の頭をした俺が写ってる写真。


お前は手前味噌？って思ってるのかもしんないけど、俺はちゃんとお前の腕を信じてきたから。
作品を出したら必ず通ると思ってた。


「これ…なん、で？」

「前の店であんなことがあったからさ、Aは絶対出さないだろうなって思って。俺が代わりに出しといた。ネタばらし」


あの時、オーナーから受け取った写真とエントリーシートを今の店の名前に変えて送った。
なんとか締切のギリギリ。

賞には選ばれなかったけど、最終選考まで残ってたみたいで。
サイトにはちゃんとAの作品が掲載されていた。


「それにしたって、その作品名なんとかなんないの？まじでセンスねーわ」

泣いてたと思ってたら突然Aは笑い出した。

俺も相当悩んだよ。
もっと格好良い作品名に変えて出した方がいいんじゃねーかって。
悩んで悩んだ結果、Aの意思を尊重しよーってそのまま提出したの。

「だって、これしか、これしか思い浮かばないもん！」



『いま光る』


「これ、最終選考まで残らなかったらどうするつもりだったの？ネタばらしはしないつもりだった？」

「ばーか、俺がモデルやってんだよ？残らないなんてことありえねーよ」


信号が赤に変わる。

奪うようにキスをした。


End

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