ハイライト

その心情 ページ11

あ、このキャップ。
手に取ったそれはひかがよくプライベートで被ってるやつ。
なんでレジカウンターにあるんだろう…
ディスプレイしようとフロアに向かう。

「あ！大ちゃんそれだめ！！」

「えっ？！」

びくぅぅぅ！

「おとととと」
びっくりした弾みでキャップが宙を舞ったところをなんとかキャッチした。

大きな声でストップをかけた三崎さんもほっと胸を撫で下ろす。


「ごめん、大ちゃんに言い忘れてた。それ光くんのお取り置きなの。ラッピングしといてって頼まれてて」
「え、光くんが？」

ラッピングの天才、三崎さんがもってるのは赤と緑のクリスマスカラーのぱりっとした袋とリボン。

俺不器用だからラッピングが入るといつも三崎さんに頼んじゃう。
前に自分でやってみたら時間はかかるわくしゃくしゃになるわで全然だめだった…


「誰にプレゼントするんだろうね。でもBOXじゃなくて袋ってことはそんなにかしこまった感じじゃないんだよね？」
いたずらに笑う三崎さん。


まぁ、確かに光くんが誰かに帽子をプレゼントしてるとこなんて見たことない。
しかもお揃いのやつ。

「自分にご褒美？」
「まさかぁ！ねね、大ちゃん聞いてみてくれない？」
「三崎さん悪い顔してる」
「だって気になるじゃーん」
「あ！！！」
「ん？誰か思い当たった？！」
「…清掃してきまーす」


いるじゃん1人。
光くんの近くでこーゆーキャップ欲しがりそうなおしゃれさん。
サロモやってるとこのスタイリストさんじゃないかな？

ほこり取るわさわさのやつで棚をぼふぼふしながら俺まで顔がにやけた。

「そっかあ、そっかあ。うんうん」

「何が？」

びくぅぅぅ！
後ろから声かけられてびっくり。
声の主は噂の光くん。

「はれ？ひか今日休みでしょ？」
「うん、今からフリーペーパー？の撮影」
「あ、今日月曜日か！店休みだもんね」
「そ！いってくる」

三崎さんにラッピングしてもらったキャップを取りに１回店に寄ったのかな？
光くんの背中をびしぃっと叩く。
少しむせながら俺を振り返った。

「がんばって！！」









今はAさんのカット練習が終わるのを待つひか。
それに付き合う仕事上がりの俺。
いつものブルックリン系カフェ。

"ひか待ってるから今日の練習は早目に終わってあげてよ"
さっき山田に送ったメッセージ。


落ち着きのないひかに苦笑い。
こんなひか初めて見るかも。



「がんばって！」

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