返りそこなった俺が嗤う完結編 (ページ9)

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和

雅「俺は翔ちゃんに託されたの。だから、笑って送り出したよ。…それに翔ちゃんは行ってきますって言ってた。それなら俺たちは今までのこと色々見直して翔ちゃんが帰ってきた時に笑って迎えてあげれるようにした方が良いんじゃないの?」

雅紀の言葉は最もだった。でも、今が居心地良すぎで。このまま砂糖を煮詰めたようなこの空間に浸っていたくて、俺たちに強く出れないのを良いことに翔さんに縋っていたのだ。

きっと潤くんも同じ。

潤くんは力無く、雅紀を掴んだ手を離した。

潤「雅にいは凄いね…。俺はそんなすぐには切り替えられない…。」

悲しそうな、今にも泣き出しそうな顔で潤くんが呟く。

雅「すぐじゃなくていいよ。少しずつ歪んじゃった家族を元に戻していこう…?」

結局その日、俺たちは泣きに泣いてとてもじゃないけど学校やバイトどころでは無かった。

そのままみんなでサボって翔さんの部屋で過ごした。
なんにもなくて、あるのは家具と翔さんのスマホとメモだけだったけど。でも短くても丁寧に書かれたメモに『しばらく』って書いてあるところに翔さんの優しさを感じて。それに気づいてまたみんなで少し泣いた。

そこそこ大きい男四人が啜り泣いてるのは相当気持ち悪かったと思う。

流石に潤くんもご飯を作る気にはなれなかったみたいで、昨日の残ったつまみをみんなでぽそぽそ食べて、目を真っ赤に腫らしながら最終的に翔さんの部屋で寝たのだ。

次の日起きたらみんな酷い顔をしていたけれど、でも何か吹っ切れたような、さっぱりとしたような表情で。

あぁ、きっと俺たちならまたやり直せるって漠然と思ったのだ。