返りそこなった俺が嗤う完結編 (ページ2)

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智

智「それに、今以上力を付けたら…、俺たちじゃ抑えられない。」

俺だって翔くんと一緒に、今まで通り仲良く暮らしていきたい。
でも…、現実はそう甘くはない。

鬼については、前に聞いてはいるけれどまだまだ未知数のところが多い。それに昔と違って鬼と戦えるような戦力もほとんど無い。
もし力がどんどん成長していくようなら俺たちだけではなく人間にとって脅威となりえるのだ。

智「…その力をどうにかできない以上、まだ、翔くんが暴走をしていないうちに………全てを終わらせるべきだ。」

最後の方は声が震えてしまった。

翔くんは全てを諦めたような顔をしてこちらを見る。

あぁ…ちがう。違うんだ。

弟にそんな顔をさせたかったわけじゃないのに。

俺は、俺らはどこで間違えてしまったんだろう…。

翔くんが何か言おうと口を開きかけた瞬間だった。

和「嫌だ！絶対に嫌だぁぁぁ!!」

珍しく大声を上げた和に全員思わず視線を向ける。

和「だって、だって、方法は違ったけど結局皆一緒に居たくて行動してたんでしょう…?それなら居ればいいじゃないか!俺は絶対に翔さんと離れたくないっ!!」

そう言って翔くんに駆け寄りヒシと抱き着く。
それを見た他の二人も翔くんの名前を呼びながら手放すもんかと抱き着きに行く。

突然巻き付いてきた弟たちを無下にすることもできずに困惑する翔くん。

翔「え、ちょっ…。お前ら…。」

…やっぱり翔くんは優しい。
抱き着いてきた弟たちが怪我をしないようにさり気なく支えている。

父ちゃんと母ちゃんが連れてかれてから、5人で生活してきたのだ。
小さかった弟たちを守るために染みついたその行動…鬼になったって変わらない…。

智「…俺だって本当は終わらせたくはないんだ…。一緒に居たいに決まってんだろぉ!!!!!」

思わず俺が叫ぶと、雅紀がパッと翔くんから顔を上げた。

雅「ねぇ、きっとさ、難しく考えすぎなんだよ。力が強くなるかどうかなんてまだ分からないじゃん。」

難しく…?

雅「いいじゃん。一緒に居ようよ。5人なら、きっと何とかなるよ。今までだってそうだったんだから。」

翔「雅紀…。」

潤「…っ、そうだよ!一緒が…一番だよ。」

和「だめなの…?」

雅紀だけじゃなく双子も懇願するように俺を見る。

翔「…兄さん、黙って鬼になっちゃてごめん。力が強くなるかどうかは俺にもまだ分からないけど…一緒にいちゃだめかな…?」

そんなの…

智「良いに決まってる。」