44 ページ45
「あの、降谷さん…？」
恐る恐る声を掛けてみるも反応がなく、もしかしてガチギレしてるのではと不安になる。さっきまで天使だの優しいだの心の中で褒めていたのに一瞬で恐怖の対象に変わった。
一度深呼吸をし、意を決して降谷さんの顔を覗き込む。怒っている訳ではなさそう。
目は閉じていて、次第に規則的な息遣いが聞こえてきた。…あれ、もしかして寝てる？あの降谷さんが？
料理を教えてくれるだけでもびっくりなのにまさか無防備に寝られるとは。
私が思っているよりも降谷さんは怖くないのかもしれないと、寝顔を見てそう思う。カクカクと傾く顔に、恥ずかしながら自分の膝を貸した。
フワフワの髪を手櫛で整える。ほんっと、綺麗な顔してるよなぁ。外国の人だと勘違いするくらいに目鼻立ちがハッキリしていて、最初は英語で話し掛けようか迷ったくらいだ。
「無理させたかな…」
目の下の隈を見てポツリと呟く。やっぱり寝てれなかったんだと、私の為に申し訳ないことをさせたなと後悔した。
諸伏さんとは違って儚げな雰囲気はないけど、こんな姿を目にすると頑張り過ぎて倒れてしまうのではと心配になる。現にこうして私の前で寝ている訳だし。
ただ謝罪よりは感謝の言葉を言った方が降谷さんも気持ち良いだろうと、起きたら言おうと決意する。
「ん…」
「あ」
そこで降谷さんと目が合った。この状況を理解したのか降谷さんは勢い良く起き上がって顔を真っ赤にしていた。
どうしようやっぱり怒らせたかな！？
本人を前にするとさっきの気持ちも消え失せる。いやでも、怒っているというよりかは恥ずかし…
「な、何やってるんだ！」
「ええやっぱり怒られた！」
「当たり前だろう！こんな、無防備な…」
無防備なのは貴方の方でしょと突っ込みたくなるのを抑えて仕方なく降谷さんの小言を聞くが、何に怒ってるのかさっぱり分からない。私、何もしてないのに…
「膝枕が恥ずかしいんですか？」
そう言うと降谷さんは再度無言で私の膝に頭を乗せた。どういう強がり？降谷さんの意地の張り方が分からず困惑する。
だけどやっぱり顔は真っ赤なままで、フッと笑いが零れた。
「……笑うなよ」
「ふふ、可愛いですね」
「大の大人の男に可愛いなんて言うものじゃない」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1613人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ｈｉｙｏ(プロフ) - 腐腐腐さん» ありがとうございます！運命感じさせました^._.^ (2022年6月22日 5時) (
レス) id: 5712aeba53 (このIDを非表示/違反報告)
腐腐腐 - めっさ好きです！この作品に運命(？)を感じました笑続き楽しみに待ってます！ (2022年6月20日 21時) (レス) @page36 id: c7cac8184e (このIDを非表示/違反報告)
Ｈｉｙｏ(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます〜！励みになります( ；； ) (2022年5月15日 2時) (レス) id: 5712aeba53 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - めっちゃ好きです！更新応援してます。、これからも無理せず頑張ってください (2022年5月13日 0時) (レス) @page16 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
Ｈｉｙｏ(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！頑張ります^._.^ (2022年4月30日 15時) (レス) id: 5712aeba53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ｈｉｙｏ | 作成日時：2022年4月27日 16時
