ハイテンションガールの憂鬱 (ページ8)

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mysterious gentleman ページ8

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真っ直ぐ家に帰るはずが、何故か私は会社近くのカフェにいる。

そして目の前には元彼氏。

コーヒーを飲む姿が様になっていて、時の流れを感じていた。

「A綺麗になったね。」

「え？そ、そうかなぁ…。」

え、何？最初はお世辞からって裏でもあるのかしら？
変に勘ぐってみたけど、イーシンは全く表情崩さずニコニコしてるだけ。

この妙な空気は何だろう。
発してるのは私の方？

「飲まないの？冷めちゃうよ。」

「あ、いや、うん。飲む。」

聞きたいことは山ほどあるのに変な疑心がそれを喉で突っ返させる。

「にがっ…。」

「はは。やっぱり舌はお子ちゃまか～。」

「な…！」

「エスプレッソなんて頼むから大人になったんだなぁと思ったけどそうでもないね。」

そんな事言ってるくせに、自分はちゃっかりラテなんか頼んでるじゃん。
カッコつけといてそっちこそお子ちゃまじゃんか。

そもそも何で私はイーシンと2人でカフェでまったりなんかしてるんだ？
大体うちの会社に何しに来たのよ。

「ねぇA。聞かないの？」

「何をよ。」

「僕がここにいる理由。」

聞きたいですけど！？そりゃあ一番気になってる事ですけど！？

何かさぁ、昔と変わんないとは思ったけどさぁ、結構変わったよね君。
そんな言い方する人だったっけ？
おちょくってる？

「何でいんの。」

仕方ないから素直に聞いてあげようじゃないの。
目的も分かんないしバカにされてる感もあるけどな。

そしてイーシンは
ふーっと一つ息を吐くと、勿体ぶったように話し出した。

「Aに会いたくなったから。」

優しい笑顔はちっとも崩れない。
冗談なのか本心なのか分かんないのよね、この人。

「どういう意味？」

「そのままの意味だけど？」

「だからそのままって？」

「嘘ついてると思ってるでしょ？」

「うん。」

「はっきり言うねー。」

「で？」

「まぁ、仕事の事もあるんだけどさ。
本当に、Aに会いたかったんだよ。僕。」

そんな風に言われると本当は嬉しいんだけどさ、私的にタイミングが悪いような気がして素直に喜べないでいるわけ。

イーシンって飄々としてるとこあるから
言っといて何事もなかったように、またラテに口をつけた。

どういう反応が正解なのか、今のところ私には思い浮かびません。

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