めんどくさい彼女 (ページ19)

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放課後、玄関へ向かって廊下を歩いていた

ソナは最近ダンス部の見学に忙しいらしい
チャニョルに会いに行ってるのかもしれない

今日の宿題は苦手な古典だから帰ったらはやく取り掛からないとな
夕飯なんだろうな
明日は日直だからいつもより早起きしなきゃ
色々考え事をしていたせいで中央階段から勢いよく降りてくる人影に全く気づけず
出会い頭に突進された

イタタタタタ…
久しぶりに尻餅なんてついたもんだから上手く受身が取れずに左手をすこし捻ってしまったみたいだ
手首が痛い、でも利き手じゃなくて良かった
なんて意外と冷静な自分に驚いたけど

相手も転んでる
怪我でもしてたら大変だ

「だ、大丈夫ですか？」

返事がない

「大丈夫ですか？」
もう一度言うと無言でむくりと立ち上がったその人

もう一度「大丈夫ですか？」と顔を覗き込むと

鋭い眼差しでこっちを見てる…
何この人こわい

そ、そっちだって走って階段降りてきたんだから悪いのはお互い様でしょ！

キッと睨むと

「ふぇぇぇぇん」
泣き出してしまった

さっきの表情とのギャップに驚きを隠せない

私が泣かせた、んだよね？

「ご、ごめんなさい。私がボーッとしてたから。怪我は？どこか痛いとこないですか？」

「…グスン」

あ、泣き止んでくれた

「大丈夫ですか？どこが痛いですか？」

「痛くない、です。どこも」

良かった、怪我したわけじゃなかったんだ
ホッとした

「お姉さん、こわい人？」
まだ彼の目は涙でウルウルしてる
私がこわいから泣いたのかな

「え、っと…こわい人じゃありません」

「ほんと？」

「ほんとです」

引きつってるかもしれないけど無理矢理笑顔を見せると
彼もふにゃっと笑った

よかった、誤解は解けたらしい

「僕1年3組ファンズータオ。お姉さんは？」

「え、2年4組チェAです」

「タオ、お姉さんとお友達になりたい！」

「え？」

急に何を…ってゆーかタオって言ったよね？
さっきの鋭い目、スナイパー…

「もしかして君、ダンス部のタオくん？」

「お姉さん何で知ってるの！？」

当たりらしい
あのスナイパーみたいな目をしたタオくんってこの子か、確かにスナイパーみたいだ

でも今目の前にいるタオくんはニコニコ笑ってる

タオくんとの出会いは想像以上に印象的だった