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ムカつきながらバタンと閉まるドアの音を背に、私も勢い任せで思いっきりドアを閉めてやった。
そしたら思いの他大きな音がしたもんだから、自分でやっといてビクッとしちゃったじゃんか。
全部ギョンスくんのせいだ。
それにしても何だろうねあの態度。
私が何したっていうのさ。
ふつーに、ごくごく普通におやすみって言っただけじゃん。
道中何も話さなかったしさ、だから逆鱗に触れるようなことなんてなに一つありはしないわけよ。
あー、まったく。こっちが気持ち逆撫でされたっつーの。
収まらないイライラをどこにぶつけたら良いのかも分からず、とりあえず上着をポイっとそのへんに脱ぎ捨てた。
そして顔を洗ってメイクを落としている最中、なんつータイミングでピンポン鳴らすかね。
はいはいはい、今行きますよ。
タオル片手にガチャリと鍵を開錠してドアを開けるといの一番にあの三白眼。
「確認もせず鍵開けるなんて襲われても文句言えませんよ。」
……チッ。
「何よ。何か用。」
ギョンスくんがそう来るなら合わせてあげますよ。
如何にも迷惑そうにツンケンしてみたけど、彼はそんな事お構い無し。
何だよ何だよ。もうね、こんなラフな姿晒してる時点で気づいて欲しいよね。
「これ。返しに。」
徐に差し出されたのは、いつだったか一時の気の迷いで彼に持ってったパエリアの入っていたお皿。
もちろんそこには何も乗ってないし、綺麗に洗ってあった。
「あー、これ。わざわざどうも。」
確かに受け取りましたよ。
さ、もう良いでしょ？お帰りくださいな。
「あの。」
なに？まだ何か？
「…何よ。」
分かんないけど嫌な予感がした。
そういう時って大概当たるのよ、経験上。
「パエリアですけど。」
それがどうした。
あれか？お口に合いませんでした？
そうですか。そりゃあすいませんでしたね。
「不味かったんでしょ。そんなもん食べさせてごめんなさいね。もう寝るので、それじゃあ。」
彼を玄関から追いやってドアを閉めようとしていたら、私の悪い予感ってのは結局全く、予想外に外れていた。
「いや、美味しかったですよ。すごく。」
まさかの事態に言葉を失った私の見開いた目には、ギョンスくんの優しそうな微笑みが写っている。
今、なんて？
「また何か作ったらおすそ分けしてください。じゃあ、おやすみなさい。」
パタンと閉まったドア。
立ち尽くす私。
ギョンスくんの口元は、ハート型だった。
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ちー(プロフ) - とっっっっってもかわいいな、先生 (2018年8月4日 21時) (
レス) id: b30b6d91a4 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - ギョンちゃんのツンデレ、可愛すぎます。ミンソクさんに美味しいなんていわれたらキュンです\(//∇//)\お話とっても楽しみにしています(o^^o) (2018年8月4日 21時) (レス) id: 9358b5978b (このIDを非表示/違反報告)
のんたま(プロフ) - このお話の、ギョンスのツンデレ具合が大好きです。更新楽しみにしてます。 (2018年8月3日 19時) (レス) id: b89da2edc7 (このIDを非表示/違反報告)
千尋 - わ！もしかして主人公ちゃんとギョンスが好きな映画「かもめ食堂」ですか〜？恋はスマホでとっても面白いです！更新楽しみにしています！ (2018年8月3日 14時) (レス) id: 8337028c26 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます！ワクワクニヤニヤ楽しませていただいています！『美味しい』って言葉は本当に嬉しい言葉ですよね。主人公ちゃんの気持ちにめっちゃ共感しちゃいました！ (2018年5月17日 5時) (レス) id: fd6488e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫
| 作成日時：2018年3月13日 21時
