＊ ページ24
.
勢いついでに3人を置いて1人お店のドアをくぐった。
外に出ると列は更に長く連なっていて、今か今かと順番を待ってる人がたくさん。
そんな人々を横目に飲み終わった私は駅へ向かおうと足を進めた。
そしてたった数秒後。
私の足はピタリと止まった…いや、止められた。
「何やってるんですか。」
特有の低い声は、まるで怒りを含んでいるかのように聞こえる。
「何って、帰るんだけど。」
「そんな事は分かってます。」
「あっそ。じゃあ何で引き留めんのよ。」
ガシッと掴まれた腕は、男の人の力に抗う程の術を持っているはずがなかった。
酔ってるから尚更。
私の質問に彼が答える前に、後から出てきた2人がその光景を見て訝しがってる。
「お前さぁ、勝手に先に行くなよな。」
そうじゃなくて呆れられてたっぽい。
「先輩、はい。」
「何よ。」
「何って、さっき先輩が置いてった札だけど。」
「何で。」
「出させるわけないでしょ。」
恐らく彼らは私を女として扱ってるんだろう。
こんな時だけカッコつけて何のメリットがあんのよ。
「割り勘なんだからいいよ。そんな気遣う相手じゃないでしょ。」
「いや、ってゆーかA先輩に取り持ってもらったようなもんじゃん？お礼ってことで。ね？」
いいって言ってるのにベッキョンは全く引かず、終いには私のジャケットのポケットに無理やりそれを押し込んだ。
強情だな。
そしていつの間にやら解かれていた腕。若干痛い気がするけど、気にしない。
「俺らもう一軒行くけど、Aはどうする？」
話し足りないミンソクとベッキョンはどうやらハシゴするつもりらしい。
「帰る。」
「ふーん。ギョンスくんは？」
「僕も帰ります。」
ギョンスくんはチラッと私を見ると自分もここでって言い出して、意味深な視線を向けられた事で妙に勘ぐってしまう。
「行けばいいのに。ギョンスくんも話し足りないでしょ。」
ナイスアシストしてあげたつもりが、心底迷惑そうな顔をされ、頑なに行きませんと譲らない。
本当は1人になりたかったのだけど、ギョロッとした大きな目で凄まれては流石に何も言えなくなる。
「そっか、じゃあ俺たち2人で行くとするよ。」
ミンソクはそのまま背を向けて、ベッキョンと共に行ってしまった。
ギョンスくんに私をよろしくとか言いながら。
あーあ、予想だにしない展開だったわ。
とは言っても、向かう方向は最初から同じだって知ってたけど。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 959人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちー(プロフ) - とっっっっってもかわいいな、先生 (2018年8月4日 21時) (
レス) id: b30b6d91a4 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - ギョンちゃんのツンデレ、可愛すぎます。ミンソクさんに美味しいなんていわれたらキュンです\(//∇//)\お話とっても楽しみにしています(o^^o) (2018年8月4日 21時) (レス) id: 9358b5978b (このIDを非表示/違反報告)
のんたま(プロフ) - このお話の、ギョンスのツンデレ具合が大好きです。更新楽しみにしてます。 (2018年8月3日 19時) (レス) id: b89da2edc7 (このIDを非表示/違反報告)
千尋 - わ！もしかして主人公ちゃんとギョンスが好きな映画「かもめ食堂」ですか〜？恋はスマホでとっても面白いです！更新楽しみにしています！ (2018年8月3日 14時) (レス) id: 8337028c26 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます！ワクワクニヤニヤ楽しませていただいています！『美味しい』って言葉は本当に嬉しい言葉ですよね。主人公ちゃんの気持ちにめっちゃ共感しちゃいました！ (2018年5月17日 5時) (レス) id: fd6488e944 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雫
| 作成日時：2018年3月13日 21時
