ハイリスクノーリターン (ページ28)

今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:798,015 hit

年下くんのギャップ、その② ページ28

彼女たちが去った後
35歳と言われた私は
鏡の前でマジマジと自分の顔を見つめた。

それなりにお手入れしてるつもりだし
メイクだって気を抜いてないつもりなのに。

でも全部"つもり"。
よーく見たらシワもあるし
目の下には薄っすらと黒い影。

これが20歳と28歳の差なのか。

大きなため息をその場に残し
トイレを後にして部屋に戻った。

私トイレに行くって言ったはずなのに
彼女たちは気づいてないのだろうか。

きっとどうでも良いんだろうね。
私のことなんて。
だから聞かれてたとしても関係ないのかも。

話の中心にいて楽しそうに笑ってる彼女たちを見て
ふと、そう思った。

「大丈夫ですか？」

「え？何が？」

「気分悪かったら言ってくださいね。」

「あぁ、ありがとう。ただ用をたしてきただけだから大丈夫だよ。」

ギョンスくんに彼女がいるの、何だか納得した。
私なんかに気を使ってくれて、良い男だね君は。

「オバさん泣きそう。」

「え？オバさん？」

「あ、ううん。何でもない。」

ついポロっとね。
なんつー短絡的思考なんだ私は。

「あの、そろそろ私帰るね。」

聞いてないかもだけど一応言っとく。

「え、帰っちゃうんですか？」

あ、聞いてたんだ。

「なーんかもう眠くて。飲みすぎたかな。はは。」

「もうこんな時間か。僕も帰ろうかな。」

「おいおいギョンス帰んのかぁ？」

「彼女からもちょうどメール来てるから。」

「じゃあそろそろお開きにしましょうか。」

いや、別にみんなを巻き込むつもりはなかったんだけど。
何故かジョンデくんが指揮をとり、お会計は進みお店の外。

寒い。

最後にお店からジョンデくんが出てくると
誰が誰と帰るか相談が始まり
帰り道が同じ方向同士で分かれることに決まった。

「俺こっちだから、送ってくよ。」

ジュンミョンはお目当の相手と帰れるからって若干嬉しそうだけど
あの子はセフンくん目当てだから残念そうだよ。

「じゃあ、私こっちだから。」

徒歩圏内に家がある私は当然1人で帰るもんだと思っていて、だからちゃんと「おやすみ」ってみんなに手を振ったんです。
笑顔で。偉いでしょ。

でも、タクシー組が乗り込んで去って行った後
残ったのは私1人じゃなかったわけ。

「行きましょうか。Aさん。」

「え？」

「同じ方向です。送ります。」

背の高い場所から柔らかい笑顔で私を見下ろしていたのは、セフンくんだった。