ハイリスクノーリターン (ページ18)

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意外にも金曜日はあっという間にやってきて。

企画書は無事にハゲ課長に渡してやった。

何だか分からないけど頑張れたのが
今日のせいだなんて思いたくはない。

いつもならソッコーで家に帰って
ビール片手に買ってきた刺身をつまんでいるところだけど
今日はそうもいかなかった。

あの日と同じあの居酒屋。
私の家から徒歩圏内。
足を運ぶのは2回目。

一旦家に戻り
入念にメイクをお直ししながら
タンスの肥やしになっていた服を引っ張り出した。

何気合入れてんの私…。

お店の前で佇んで
やっぱり用事があるから断ろうかなって思っていると。
向こうからジュンミョンが歩いてくる。
隣にジョンデくんを従えて。

「Aさんお久しぶりで～す。」

「う、うん。」

「寒いから早く入ろう。」

冷たい空気に溶け込んだ息が白く消えて行くのを見届けて
まったく乗り気じゃない飲み会に参加すべく
お店の暖簾をくぐった。

こんな格好してるくせに乗り気じゃないなんてどの口が言う。

今日もテンションの高い店員さんに案内されて
お連れ様はもうお待ちです。
って言われたような。

え、まだ心の準備ができてない。

通された部屋は個室で
掘りごたつの周りにはすでに2人とも座っていた。

「おぉ、もう来てたのか。」

「さっき駅で偶然会って、一緒に来たんです。な？」

ギョンスくんが同意を求めようとした先の彼と目が合うと
あの時と同じくふんわり笑って。

「お久しぶりです。Aさん。」

し、心臓が痛い……。

「ジュンミョン、私帰る…。」

耐えられなくなって小声で言うも
強制的に着席させられた。

しかも彼の真ん前に。

彼の瞳に私が映っていると思うと
緊張して体がカチンコンチンに固まる。

何でもっと柔軟な体じゃないんだよ私は！

いや、昔新体操やってたから体は柔らかいはずだ。

って今はそんなことどうでもよくて。

こんなところを見られたからジュンミョンに悟られたんだ。

素直になりすぎだよ。
自分の体なのに脳が指令を出しても言うことを聞かないんだもの。