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強がり 芥川龍之介 ページ44

夜だった。

太陽が海に沈み、月が追いかけてくる。

そんな中、黒い外套を纏った狗は、立ち尽くしていた

その狗の前に女が向かい、こう云った

「救済の連鎖って、知ってる?」

芥「...」

狗もとい、芥川龍之介は何も云わなかった

芥川はこの女を知っていた

性悪で、小賢しくて、愚かで

だが、好いていた

「誰かが誰かを救って、その誰かがまた誰かを救っての繰り返し、私はそれを見たわ」

芥「...僕に救済などいらぬ」

男は冷たく言い放った

「そうね、貴方は救済の連鎖から外れてしまったもの、そういう考えにもなるわ」

芥川は酷く苛立っていた、まるでこの女は、全てを見透かして話しているようで、それが、彼の人の瞳に酷く似ていて、それは2倍も気味が悪かった。

「思ったことは無い?臆病さが自分を鬼にして、どうしようもない自分が今、歩いてるって」

女は、芥川と同じ貧民街の出だった、幼年期、芥川と一緒に行動し、踏み潰し、突き落とした仲間。

それは、今も尚だった

芥「くだらん、もう日は暮れている、帰るぞ」

「待ってよ」

女は男の外套を掴んだ、そして続けた

「酷いと思わない?太宰さんは救われた、それによって中島敦が救われた、それによって鏡花ちゃんが救われた、ねぇ、おかしいと思わない?」

芥川はその言葉を聞き、女を睨んだ

中島敦とは、芥川が1番嫌う人間

その理由が何故なのか、それは本人はもちろん、女もわかっていた。

「太宰さんの近くにいたのは、私も、龍も同じ、厳しい訓練、覚えてるでしょう?なのに、何故私達は救済されなかった?何故中島敦は救われた?」

女は芥川の外套を掴みながら、縋り付くように云った

「可笑しいよ、間違ってるよ、出会ったタイミングだけの話なのに、なんで、」

芥「やめろ」

芥川は女の言葉に被せて云った

その時の芥川の目は、冷酷な目にも、今にも泣きそうな赤子の目のように見えた。

芥「僕らに、光は似合わぬ、理由はそれだけで充分だろう。」

目を合わさずに云った

その時の芥川の表情が、どんなものだったかはわからない。

この時、芥川は思い出していた

鏡花と戦った時、云った言葉を

芥「帰るぞA、帰る場所がある、それだけで僕らには充分な幸福だ。」

「...えぇ、」

例え、自分たちに救済の連鎖というものがなかったとしても

それを妬み、憎み、怒りなどしない

そんなことは、ただの愚か者だからである。

今ここに認め合える人がいる

それでいいはず、だよね

_____強がりfin?

名前 黒の時代(太宰)→←知らない恐怖



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アネモネ(プロフ) - 涼宮 夜月さん» 了解致しました (2018年5月21日 7時) (レス) id: c3d9258db0 (このIDを非表示/違反報告)
涼宮 夜月(プロフ) - リクエストよろしいですか?虫太郎さんのヤンデレを読んでみたいです……!虫太郎さんの一方的な片思いで、夢主は虫太郎さんの事は何も知らない他人という設定でお願いします! (2018年5月20日 22時) (レス) id: b7c330dcd6 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 夏姫さん» 了解致しました (2018年5月18日 7時) (レス) id: c3d9258db0 (このIDを非表示/違反報告)
夏姫 - 同じ織田作妹ネタで織田作がジイドと戦い主は愛する兄を失って心が壊れてしまうそんな主を連れてマフィアを抜ける太宰。太宰が織田作の代わりに主を愛する話お願いします。 (2018年5月17日 20時) (レス) id: d39e30b99f (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 夏姫さん» 了解致しました (2018年4月22日 18時) (レス) id: c3d9258db0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アネモネ | 作成日時:2017年12月29日 1時

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