mid night LOVE <SM entertainment> season ３ (ページ31)

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３１：incident side YOU ページ31

「ちょっと待ってください。急に活動拠点移すだなんて・・・聞いてませんよ！」

会長室にリサオンニの声が響いた。オンニ以外のミアオンニやジンリーオンニも今の状況を飲み込めていない。世間の酸いも甘いも受け入れてきた3人が理解できていないということは勿論私なんかが理解できるわけがない。

「どういうこと・・・？」

「まぁ韓国であげる利益だけじゃ満足できないって事だね、会長は」

ジンリーオンニはそう言った。何とか飲み込めたらしい。

何だそれ。

デビューしてまだまだな私たちをここまで引き上げてくれたのはここの人たちなのに。
別に活動拠点を移すことに対して不満はない。色々な世界を見れることは嬉しいし、きっとたくさんの考え方を持つきっかけになるだろう。

でも、私たちをトップにしようと応援してくれたあの子たちの声援に満足できないだなんて。

「どこまでも利益の事しか見えてないんですね。あなたは」

ミアオンニがぽつりと言った。
ROOKIES時代、怪我をして踊れなくなったオンニ。その治りは遅くて辞めようとも思った。
でもそれを引き止めたのはたくさんのファンから届く手紙と、“また踊ってほしい”という
世間の声。

「そんな事で軽々しくここのファンを置いてはいけません。理由を聞いてみれば結局は利益。
　私たちに世界を見せてくれるのかと思ったらやっぱりそんな事ですか」

リサオンニは言葉を放つ。

「A、ミア、ジンリー、帰るよ」

踵を返して会長室のドアを開けたオンニに私は続いた。
その背中は震えていて、あの言葉はきっとオンニにとって賭けに出たともとれる。

SMエンタが所属アイドルに求めるもの。それはパフォーマンスの完璧さと会社への忠誠心だ。
その1つである忠誠心を、会社の絶対である会長の言葉を無視した。

「大丈夫かな？」

帰り際、バンに乗り込み隣のリサオンニに訊いた。

「大丈夫よ。あなただけは何があってもオンニたちで守ってあげる」

手を繋いで踏ん張ろう。4人で居れば来る嵐の激しさなどそよ風のようなものだから。