Say My Name＜EXO＞

３８：my girl side YOU ページ35

中国での撮影が早く終わり、私はスタジオの廊下を歩いていた。
何だって今こんなところにいるのだろう。今日は韓国で番組収録だったのに。
最近、会社は私に大きな仕事しかやらせてくてなくなった。


本心を言えば、仕事に大きいも小さいもないのだが、結局は存在する。
金になるならない。そして、経済を動かす、動かさない。
私が請け負う仕事１つでそれが決まるのだ。

そして会社は、あの人はきっと私を金の生る木としか見ていない。


それはとうの昔からわかっていることだ。



バン


肩と肩がぶつかり、あからさまに前方不注意の私が悪かった。
倒れこんだ相手に手を差し出して謝罪する。


『すみません』


その時だった。


『いつのまにそんな他人行儀な話し方するようになったんだよ』


聞いたことのある声だ。昔は毎日聞いていた。
ある時、急に居なくなって、これが聞きたいがために私は、私は、

毎晩泣いた。


『ルハン・・・オッパ？』


女の子みたいな顔(と、言ったらオッパは怒るけど真実だ)、
やはりしっかりした筋肉質の体。優しい、とろけそうな声。

オッパだ。


『おう。久しぶりだな』


何も、何も変わっていない。
私の中では確かに時間は動いているのに、この人の中ではあの時で時間が止まったようだ。
あの、儚い、短い時間の中で。この人の時間は。


『なんで、なんで』


笑った顔も、何もかも。
緊張すると少し声が上ずる癖も、指に嵌めたお揃いのリングも。
何も変わってない。


・・・せめて。

すごく性格が悪くなっていて、私の事なんか過去にしていれば。
こんな風にぶつかっても無視していなくなってくれれば。

私は、複雑な気持ちを再燃させることはなかったはず。


『大きくなったな』


幼い頃、聞いた中国語。
オッパだけが私の全てを知っていた。


『俺、ずっと一緒に居てやれなくてごめんな』
『１８も、１９も、誕生日祝ってやりたかったんだけどな』
『オッパ、弱いからさぁ』


サンナムジャなんでしょ。そんな事言わないでよ。

私が泣きそうになるじゃんか。

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