1人 423円 (ページ2)

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･月曜日･

オトンとオカンが残したこの銭湯は

「しげちゃん、大人ひとりね」

「お、齋藤さんやん。こんばんは。
もう腰大丈夫なん？」

「お陰様でなぁ、だいぶ動けるようになったわ」

ご近所の常連さんが多く通ってくれていて、今日も忙しすぎないけれど、絶え間無くお客さんが来る。

営業時間は17時から25時
文字書きをしているから、基本的にパソコンか手書き原稿用の用紙を番台に持ち込んでいる。

元々ここの常連さんで、近所のお兄さんの
仲良くしてくれている丸山くんは、バーテンダー。

17時から20時位まで、自分が行けない時に代わりに番頭を務めてくれている

番台の背面に脱衣場がある昔ながらの銭湯で
お年を召した方が多くいらっしゃる。

その中でも数人、自分と同世代の人達も来てくれて

「…今日は月曜日かぁ」

てことは、その同世代の1人を読んでくれてる皆さんに紹介出来るなぁ

同世代たちは、お互い何かを感じ取っているのか…
知り合いではないが、示し合わせたかのように来る曜日が異なっていて

毎週ほぼ順々にやってくる。

「ありがとうございますー
おやすみなさい」

閉店まであと1時間に差し掛かった頃
24時

「こんばんは、大人ひとり」

「お、こんばんは、はいよ」

下駄箱の鍵を受け取り、後ろのケースから脱衣場の棚の鍵を渡す。
帰りはこの逆の順で下駄箱の鍵を返すんやで

「423円ね」

「はい」

「500円やから77円のお返し」

お釣りを手に渡す

「う、うあああ！！！！！」

「うひゃひゃひゃ！！！」

「おい！重岡！！！やめろや！！」

「うははは！淳太の驚きっぷりやばいわぁ」

ひーひー涙を流して大笑いしてる俺の頭を叩いた淳太の手にはお釣りと、ごきくんAのおもちゃ。

いい反応してくれるから、止められない

「こちとら疲れとんのじゃ！！」

「そうカリカリすんなやぁ、ゆっくり浸かってきゃあええやんか」

「そうするに決まっとるやろ」

少し怒りながら男湯の暖簾をくぐっていった。

今のが月曜日の常連

淳太。
確か俺より少し歳上やなかったかな
あれらしいで、大学の先生さんで
週初めの夜中にこうやってやってくる。

30分位入るタイプなんやけど

……いつも飲むフルーツ牛乳、わざと出しといてやろ

「めちゃくちゃ温いやないか！！！」

案の定怒られた