短編たち【JW】

本日はお日柄もよく[青×緑] ページ4

「お母さん」


呼ばれて前に出てきたお母さんは、
今日も綺麗で


「お母さんにお手紙を書いてきました」


まだ何も言ってないのに、目元をぬぐう姿に
私まで涙が出てきて手紙の文字がちゃんと見えない


「もう、泣かないでよ」

「とまらないのよ…」


「ふふ、そんな泣き虫な母は、
とても強い人です。

父が亡くなった後、私と弟3人、おじいちゃんを
女手一つで育ててくれました。

よくボケる皆に、毎回根気よくツッコんでくれて、とても賑やかな家族です。

たかちゃん。自慢の弟の一人です。
とんがっていた時期もあったけれど、
とても優しく
いつも家族を気に掛けてくれていました。
あ、真っ赤になっとる
恥ずかしいことちゃうんやから、胸張っときなさい！


大ちゃん。本当に笑顔が可愛い。
家族のムードメーカーで、その明るさに助けられる事、沢山ありました。


のんちゃん。成長が一番早くて
すごい賢い子です。『ともー』と、いつになっても甘えん坊で…そのままでいてください。
もー！そんな両手振らんでも、見えてるよー


おじいちゃん。おばあちゃんの事をいつまでも
一途に想っていて、本当に素敵です。
そのまま、まだまだ元気に。長生きしてください。」




お母さんの後ろに見える4人も
涙をハンカチで拭っていて
やっぱりそれにつられるように
自分の頬も濡れていく。




「とも」



はい、と隣から手が伸びてきて
目元にハンカチが当てられた



「ん、ありがとう」



それを受け取り少し強めに拭く



「そんなん強く拭いたら、赤くなるで」

「そうやで、綺麗な顔が台無しよ」



せっかく綺麗にしてもらったから崩したくないけど
どんどん溢れてくるそれを止める方法は分からなくて
上を向くと
遠い窓の外に青空が広がっていることに気がついた。



「良い天気やな」

「ほんまにね」



呟いた言葉を目の前のマイクが拾ってしまい
周りの人たちの視線も青空に向けられる。

・→←小話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す