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二口堅治 ページ3

「おいブタゴリラ。」

「うっさい、ちょっと黙って妖怪二口女。」

なんで人が体調悪い時まで突っかかってくるかなぁ…
膝に顔を埋めたまま、言い返すのは半ば条件反射になっている。


生理の時、私は痛みは無いものの人格が変わると言われるほどに苛立つ。
自分でもダメだと、迷惑をかけていると、わかっているのに止められない。
ましてや、工業高校なんて男子校みたいなもんだから余計にダメなんだ。
だから逃げ出すのに、いつもこいつは見つけ出す。

「なんでお前はいつもこんな見つけづらい所に隠れるかなぁ。」

「うっさい。どっか行け。」

「昼飯、食ってねぇだろ。
ゼリーだけでも食っとけ。」

「うっさい。青根のとこ行け。」

「ったく…」

あいつが近寄ってくる気配がした。
反射的に後退りして距離を取ろうとするとあいつの立ち止まる気配。

こいつはいつも近づこうとするくせに、私が拒否すると無理に距離を縮めようとはしないんだ。

「泣くくらいなら1人になるなよ。」

「ないてないっ!」

声が震えるのを紛らわすように怒鳴った。
きっとバレてるんだろうけど。

「ほら、顔上げろ。」

「ずるい…」

二口はいつも1人でいると勝手に見つけて、馬鹿にしてそれで優しく抱きしめてくれる。

ちょっとだけ顔を上げると
二口は少し笑って涙を拭うと抱きしめた。

「本当手がかかるな、お前は。」

「ほっとけばいいじゃん。」

「出来るんならとっくにしてるっつの。」

“大切な奴が泣いてんのにほっとけるわけねぇだろ”




唇が押し当てられたのと
背に手を回したのは同時だった。









【さっさと口開けろ。ゼリー落ちる。】
【ん、うまい。】
【何年テメェの餌作ってると思ってんだ。】
【うるせぇ、次は桃がいい。】
【明日な。】
【ん。】

松川一静→←黒尾鉄朗



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イナゴの佃煮(プロフ) - 瑠璃葉さん» 瑠璃葉さんお久しぶりです!しんどくなったときの妄想をそのまま書き綴っていますのでそう言っていただけると嬉しいです!お互い辛い時は妄想で乗り切りましょ!! (2019年4月25日 17時) (レス) id: 0b6026706d (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃葉(プロフ) - この作品、すごく素敵だと思いました。なってるときに見ると余計にそう思います。素敵な作品をありがとうございます! (2019年4月5日 22時) (レス) id: 341178e5e0 (このIDを非表示/違反報告)
イナゴの佃煮(プロフ) - 里紗さん» すみません!!ご指摘ありがとうございます!!すぐに直します! (2018年6月10日 18時) (レス) id: 0b6026706d (このIDを非表示/違反報告)
里紗 - 夜久さんの名前は衛輔だとおもいます (2018年6月10日 12時) (レス) id: 3698aeb15e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イナゴの佃煮 | 作成日時:2017年11月15日 20時

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