参 ページ6
柱稽古で鍛えられた私たち鬼殺隊のように、鬼たちもまた通常より強くなっていた。
どの鬼も等しく下弦程度の力を持ってはいたが、力を与えられてまだ間もないのか、力をあまり使いこなせているようには見えなかった。
だからこそ度々できる相手側の隙を躊躇なく攻撃し、そのままどんどん人の居そうな方へと歩みを進めていく。
道中幾度となく怪我をしたが今はそんな事には構っていられない。
もしかしたら、夜の巡回に行こうとして気が付いたらこの場にいた私のように、獪岳さんもまたこの入り乱れた空間にいるかもしれない、そう考えたら自分の怪我になど構っていようとは思わなかった。
血が体から溢れる度に呼吸で止血をし、また歩き出して出てきた鬼と戦う。その繰り返し。
息も絶え絶えになった所で、少し開けた空間に出た。
一見ただの居間のようだが、壁があるべきところにはまたひとつ空間が拡がっており、下を除けば気が遠くなるほど下の階が続いている。
「なんだろここ、近くに鬼の気配が少なくなった気がする……」
はてどうしたものかと物思いにふけっていると、聞き慣れた雷鳴がした気がした。
ハッとして上の階を見上げると、私の求めていた黒い閃光が見えた。
ああ、良かった。生きていたのだ、彼は。
やはり彼が死ぬだなんて私は信じれなかった。
今この瞬間まで彼が生きていると、信じて良かった。
そう心から思ったのだ。
……だが、彼の姿を見た途端、私の全ての時が止まった。
長い爪に顔に浮き出ている模様。そして決定的な瞳。まるで鬼のよう……と事実を認めたくないが故に断定したくないが、鬼の気配そのものを纏う彼は、もう見知ったあの背中ではなくなっていた。
ぐるぐると回っていく視界の中、善逸君の姿が目に入った。いつものあの臆病な面も、ふにゃっと笑う笑顔も、何もかも取払ったような、何か覚悟を決めた、そんな表情をした善逸君がいた。
善逸君が……鬼となった獪岳さんの事を斬ろうとしているのだろう。
いつしか獪岳さんからの手紙に、臆病で愚図ですぐに騒ぎ始める弟弟子がいると、そう教えられた時を思い出す。
文面で語られた特徴から察するに、獪岳さんの弟弟子はきっと善逸君なのだろう。そして、善逸君は同じ門派から鬼を出した身として懸命に獪岳さんと戦っているのだ。
その事実に気づいた途端、私は足が動かせなくなった。
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�桟鈬�(プロフ) - リリィなモモさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！そうですね、獪岳が幸せになる世界線が欲しいですね… (7月15日 14時) (
レス) @page10 id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィなモモ(プロフ) - うあぁぁ！めちゃくちゃ良かったです！ほんとに獪岳は救いがないので少しでも幸せになってほしいですね… (7月15日 2時) (レス) @page10 id: e604e437d5 (このIDを非表示/違反報告)
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