肆 ページ5
善逸君が何気なく雀から手紙を受け取り、そして開いて中を確認した途端。善逸君の周りを纏う雰囲気がガラリと変わった。
手紙の中身を詮索しようとは思わなかったが、明らかに反応が尋常ではない。
何か良くない知らせを受けたのだろうか。
「……善逸君？大丈夫？」
この程度しか声をかけられず。内心自分に呆れ返る。
対する善逸君は私の問いかけ等は聞こえていなかったようでそのままフラフラとどこかへ行ってしまった。
大丈夫かなと心配をしつつも、これ以上最近知り合ったばかりの私が彼の私情にあまり介入する訳にもいかない。
ここは潔く諦めて自分は鍛錬を再開することにした。
善逸君の励ましのおかげなのか、5日後にはようやっと岩を一町動かすことに成功し、自分でも岩を動かせたことにより、少しばかり自分に自信を持てたのもそれなりにいい傾向と言える。
こればかりはもう善逸君に感謝をせざるを得ない。
「……もし、獪岳さんと連絡が取れたらいの一番に報告出来たのになあ…ほんとに、どこにいるんだろ」
嬉しさのあまりひとしきり1人で喜びを噛み締めたのち、そんな事をついつい思ってしまう。
ついこの間までは頻繁にしていた……というか私が一方的に沢山送り付けてたまに返事を貰っていた文通ですら、最近はできていない。
何度鎹鴉に託しても、獪岳さんが見つからないと戻ってきてしまうのだ。
最悪の状況を考えてしまい、慌てて頭を振る。
獪岳さんはあんなに強いのだから、鬼なんかに殺されるなんて事はきっとない。きっと。
自分の思っていた以上に私は、獪岳さんという存在に依存していたらしい。
自分には無い強さも、何事もひたむきに努力して成し遂げる根性も、自分には何一つない物をあの人は持っている。
その彼と交流が持てるだけで、私のこのモヤモヤとした焦燥感は吹き飛んで行っていた。
自分もこの人のように頑張ろうと、そう思えていた。
それが今はどうだろうか。手紙一つ届けることすら出来ぬという今のこの状況に、私は日に日に心を閉ざして行った。
そんな中だ。
産屋敷邸が鬼舞辻無惨に襲撃され、御館様や奥様方、お子さん達が文字通り身を粉にして無惨に一矢を報いた。
それが引き金となり、幕が開けられた鬼たちとの全面戦闘。
私は、未だなんの覚悟も出来ぬまま戦地に立っていた。
柱稽古で鍛えられた私たち鬼殺隊と同様、鬼たちもまた通常より強くなっていた。
今は生き残るのが先決だと思い、手当り次第に鬼を狩っていった。
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�桟鈬�(プロフ) - リリィなモモさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！そうですね、獪岳が幸せになる世界線が欲しいですね… (7月15日 14時) (
レス) @page10 id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィなモモ(プロフ) - うあぁぁ！めちゃくちゃ良かったです！ほんとに獪岳は救いがないので少しでも幸せになってほしいですね… (7月15日 2時) (レス) @page10 id: e604e437d5 (このIDを非表示/違反報告)
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