伍 ページ4
もしかしたら獪岳さんはもっと先の稽古を受けているのかもしれない。その思いで何とか岩柱様の稽古場までたどり着いた。
稽古中には鬼の妹を連れた隊士……もとい、炭治郎君と善逸君に遭遇した。
「うへへへ〜Aさんとてもお綺麗ですね〜えへへへ」
「善逸！そんなに鼻の下を伸ばしていては少し気味が悪いぞ！」
「あははっ別に良いよ炭治郎君。正直褒められるのもとても嬉しいし」
なんとも言えない程いい子達で、すぐに打ち解けてしまった。
炭治郎君はなんと言ったら良いのか、とてもしっかりしていて、何事にも真面目だ。
善逸君は初対面で抱きついて求婚してきた事以外は同じ雷の呼吸の使い手同士、とても関わりやすい。
聞けば2人ともそれぞれ特殊な鼻、耳を持っているらしい。どおりで私の感情を見透かされる訳だ。
……ふと、2人のようになにか特殊な力があったら私ももっと沢山の人を救えたのではないかと思ってしまう。所詮は無いものねだりもいい所なので諦めるしかないのだが。
岩柱様の稽古は今までで1番過酷だった。
まず女という足枷が大きかった。
滝修行も、丸太を三本持ち上げるのも、日にちはかかったし炭治郎君と途中で仲良くなった伊之助君にも置いていかれたが何とかできた。
岩を一町動かすことだけがどう頑張ってもできない。
反復動作だって会得したし、確実に強くなったのに。
「なんで女なんかに産まれたんだろ、男だったら追いつけたのかな……」
先輩として情けないとは思ったが、つい善逸君相手に愚痴をこぼしてしまった。
ここはもう偶然居合わせた善逸君に聞いてもらうしかないとばかりに愚痴をこぼした。
己の不注意で家族のいる家に鬼を招き入れてしまったこと。
剣術がからっきしで、いつも大怪我ばかりだということ。
ある人に追いつきたいのに全くそれが叶わないこと。
己が如何に無能であるか、大いに語ってしまった。
「“女なんか”とか言わないでよAさん！！！実際俺だって岩動かせてないし！？丸太担げただけでも十分ですけど！？」
第1炭治郎達がおかしいんだよ！！等と大声でまくし立てる善逸君に思わず笑ってしまう。
「ははっなんか、悩んでるより修行してた方が有意義なのかも……しかも後輩に元気もらっちゃって格好付かないや」
「そんなことないですよAさん！」とまたしても励ましてくれる善逸君にはもう頭が上がらない。
そんな事を考えていると何やら手紙を咥えている1羽の雀が降り立った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
�桟鈬�(プロフ) - リリィなモモさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！そうですね、獪岳が幸せになる世界線が欲しいですね… (7月15日 14時) (
レス) @page10 id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィなモモ(プロフ) - うあぁぁ！めちゃくちゃ良かったです！ほんとに獪岳は救いがないので少しでも幸せになってほしいですね… (7月15日 2時) (レス) @page10 id: e604e437d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
