遅刻脱落者 ページ7
貴 「確かここ等辺ではあったんだよね。!あった」
Aは廊下の右端に落ちていた自分のスマホを取ると安心して微笑んでいた。
「今頃来たってもう__」
空閑 「そうですか」
貴 「あれは・・・空閑愁か」
Aは状況から遅刻者だと断定すると自販機で珈琲を買うと空閑に静かに近付いた。
ピタッ
空閑 「っ・・・なんだ?」
貴 「・・・」
Aは空閑の腕を掴み引っ張るとミュージカル学科オーディション会場を出て外のベンチに座らせて自分も座った。
貴 「あげる」
空閑 「嗚呼、ありがとう」
空閑はAの何も言わなさと意味不明な行動に少し驚きながらも珈琲を受け取って飲んだ。
空閑 「着物だが何処かに行くのか?」
貴 「え?、ううん、これ部屋着」
少しの沈黙の中空閑は疑問に思ったことを口にした。
空閑 「綺麗だな」
貴 「うん、この着物お気に入りなんだ」
空閑の言ったこととAの解釈は少し違っていたが空閑は敢えて訂正しなかった。
貴 「貴方の実力は結構良い方、磨けば良い方。誰かの笑顔の裏には誰かの涙がある、貴方はそれを背負える?」
空閑 「なにを」
貴 「・・・今の気にしないで」
Aははぁっとため息を吐くと背伸びをした。
貴 「・・・その珈琲タダじゃないから」
空閑 「じゃあ金__」
貴 「ステージの上で見せてよ、貴方の最高の演技とダンスを、最高の仲間と共に
少し・・・助言しようか」
Aは空閑の声を遮るとベンチから立ち上がって振り返り空閑を見た。
貴 「貴方のチームはきっと変なチームで個性があっても協調性がないチームだ。だけど貴方はありのままを貫きなさい
それはきっと届くはずだから」
空閑 「届くって、誰に」
空閑がそれを問うとAは着物の袖から飴ちゃんと取り出して空閑に差し出した。
貴 「聞かずともいずれ分かる。じゃあ私は行くね
貴方達の最高のステージ、期待してるよ」
Aは最高のステージを願い最高の笑みを浮かべて髪を靡かせてその場を去っていった。
空閑 「ふっ、不思議な奴だな」
貴 「うわぁぁっ、何やってるんだ私は!、助言とか何様のつもり!?、馬鹿なの死ぬの!?」
辰己 「桜嵐院?」
Aは校門の前で自分のやらかした事に恥じらっていると辰己が話し掛けてきた。
貴 「た、辰己・・・くん?」
辰己 「辰己で良いよ」
貴 「桜嵐院って長いしAで良い
・・・というか今まで学園に?」
続く↓
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作者名:黒芹 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=huzisamaLOVE26
作成日時:2015年3月26日 23時