突然恋話side中原 ページ4
「ねね、先輩。」
「何だ?」
「一葉ちゃんって、やつがれ君のこと好きなんですか?」
唐突にそんなことを云うから思わず飲んでいた酒を吹き出す。
うわ、きったねぇ・・・と顔をしかめる。が、そうさせた本人は、「わわわ!先輩!大丈夫ですか!?お水飲みますかっ!?」なんて宣ってる。
「水は良い。どうした一体。」
「いえ、一葉ちゃん見てると、私みたいだなぁと思いまして。だから、私が中也さんのことを好きなのと同じで、一葉ちゃんもやつがれ君が好きなのかなぁって。」
居酒屋だからか、家と同様、中也さん呼びになっている。先輩も悪くはないが、此方の方が断然良い。
否、そんなことは置いといて。
「んなの知らねぇよ。」
「でも、やつがれ君は太宰さんに恋してますもんねぇ。」
「彼奴の名前を呼ぶんじゃねぇ。あと、気色悪ぃこと云うな。」
「えーでも、ほんと恋してるみたいですよね。一寸拗れてるけど。」
「拗れすぎだろ。」
「中島敦くんに凄く嫉妬してますもんね。」
「あー・・・太宰の野郎が人虎を可愛がってるからなァ。」
「やつがれ君にはすっごく冷たかったですけどね。」
「まァな。あれだな。ずっと好きだった奴がつい最近知り合った奴と仲が良いのに嫉妬するみたいな感じか。」
「あー!自分より後に来たくせに、自分より仲が良いから!」
「そんな感じだろ。」
「うわー、ありそうですねぇ。そんな小説。」
「わりとあの二人、似てますけどね。」
「そうかァ?」
「双黒の時の中也さんと太宰さんみたいですよ。」
「やめろ。虫酸が走る。」
「立ち位置でいったら、中島敦くんが中也さんの位置ですかね?振り回されてる感が同じです!」
「いい加減黙らねぇとその口塞ぐぞ。」
「家でよろしくお願いします!」
「・・・・はぁ、」
恥ずかしげもなく笑うA。
好意を全面に押し出してくるのは嫌いじゃねぇが、少しは隠せよとも思う。
まぁ、その全面に出された好意のお陰で、気持ちを自覚してすぐに伝えられてこうして恋人になれたわけだが。
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作者名:あも | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huzisaki5
作成日時:2018年5月26日 20時