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猫漆夜 ページ10

「おやおや、男三人ばかりゾロゾロと不景気な面揃えて、どうしたんだい?
解剖志願なら結構だけど、今日は営業終了だよ。」


新聞から顔を上げながら云う与謝野に谷崎が苦笑する。


「あっ!先に来てました〜!治さん、遅いんだもん。」


椅子に膝立ちし乍ら、にっこり笑って云うA。今は人間である。


「A!来てたんだね。」


そう云い乍ら、椅子ごと後ろから抱きしめる。
顎を肩に乗せ、倖せそうな顔をする。


「ん〜・・・くすぐったいです・・・」


そう云い乍らもされるがままのA。
どこからどう見ても恋人に見えるが、そうではない。


"飼い主と飼い猫"である。


「はあ…。そういう事は家でやれ。家で。」


ため息をつく国木田に太宰が答える。


「だって、家の時はA、猫なんだから。
今、人間のAを堪能しなくちゃね。

まあ、どちらのAも癒しだよ。癒し。」


「Aさんも、全然嫌がりませンよね。」


谷崎が訊いた。


「え?別に嫌じゃないからね。寧ろ好き。
撫でられるのとか、抱きしめられるのとか。


ほら私、猫だから。」


「そういうもンですか?」


「そういうもんですよ。」


「A、大好きだよー」


「私も大好きですよ〜。」


上から、A、谷崎、A、太宰、Aである。
国木田はやれやれという風に肩を落とした。

「太宰。いつまでそうしてるつもりだ!」


「ずっと。」


「阿保か!!」


「冗談だよ。知ってるかい?冗談が解らない人は早死にするらしいよ?」


「何!?それは本当か!?」


国木田は驚愕し、メモを取る。
太宰は相も変わらずAにベッタリと張り付いている。


「・・・で、与謝野女医、会議室で何をされてるンです?」


谷崎が訊く。


「見ての通り新聞を読んでいるのさ。今日は忙しくて新聞を読む暇もなかったからねェ。」


と、答える与謝野。


「新聞でいい記事はねェ、死亡記事だよ。
この世で一番公平にその人を判じてくれる。」


にやりと笑って云う。


「全くだね。」


尚もAに抱きついたままの太宰。


「それで、会議室で何する気なンだい?」


「うふふ、入社試験の決定会議ですよ」

猫鉢夜→←猫禄夜



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あも(プロフ) - かなさん» ありがとうございます!もっとやっちゃっていいんですかね??頑張ります! (2016年6月17日 16時) (レス) id: 2dcc6ac81e (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - すっごく面白くて、前編から一気読みしちゃいました!!太宰さんとイチャイチャ……いいぞもっとやれο(・∀´・〃ο)wwww続き楽しみにしてます♪(>∀<〃 (2016年6月17日 2時) (レス) id: 1b6124347b (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - マミさん» ありがとうございます!中々更新しなくてすみません! (2016年6月14日 16時) (レス) id: 2dcc6ac81e (このIDを非表示/違反報告)
マミ(プロフ) - 初めましてこんばんは!物語とても面白いです!記念すべき222票目(にゃーにゃーにゃー)を押させていただきました!(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年6月10日 21時) (レス) id: 70987da5cf (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 夜蝶さん» 有難う御座います!!更新できてなくてスイマセン!頑張ります! (2016年6月8日 18時) (レス) id: 2dcc6ac81e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あも | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年6月2日 18時

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