猫拾漆話ー少し過去篇ー ページ23
『良かった…よかっ・・・た・・・』
・・・あれ？
睡魔が襲う。
能力を使ったからだろうか？
急に・・・
「A！？」
視界が眩む。
私は――――――――――
深い眠りに落ちた。
・
・
・
・
「坊主お前、何時もその本読んでるな。そんなに面白いか？」
背筋の伸びた壮年の口元に短い髭を蓄えた――――――あれは・・・
お爺ちゃん？
後ろには小さな少女。
―――――――――――私だ。
何時もああやって隠れてたな。
赤みがかった髪に鳶色の瞳。
瞳は空虚で、感情はなかった。
ああ、私は幼心にそれがとても魅力的に見えた。
あの少年、否、この少年は殺し屋だったんだろう。
少年は
「面白い」
と云った。
お爺ちゃんは奇妙なもの見る顔で少年を見つめる。
「変わった坊主だ。そんな小説より面白い話が、世の中にはごまんとあるぞ。」
少年は答えない。
幼い私は尚も、鳶色の瞳にじいっと見入っていた。
「坊主、その本、下巻はどうした。」
「下巻は持ってない。」
「それで得心がいったわ、幸運な小僧め。その小説は下巻がとんでもなく最悪でな。
読んだ後、頭蓋骨から脳を取り出して水洗いしたくなるような代物よ。
上巻と中巻だけで満足しておけ。それがお前のためだ。」
「そうもいかない。」
少年は答えた。
「ならばお前が書け。
それが唯一、その小説を完璧なままにしておく方法だ。
小説を書く事は人間を書く事だ。
人間はどう生きて、どう死ぬべきかという事をな。
儂の見たところお前にはその資格が在る。」
「・・・・・名前は。」
「儂か？儂の名前はな、
・
・
・
____________・・・夏目漱石だ。」
・
・
・
・
・
・
「A、これをあの坊主に渡してくれんか。」
「なんで？おじいちゃんじゃないの？」
お爺ちゃんは笑って答えなかった。
ただ、近くで待っている、とだけ云った。
私はずっと喫茶店で待った。
少年は来た。
「これ、」
私は少年に本を渡した。
下巻だった。
「あのね、おじいちゃんが、『後悔しても知らんぞ』だって。
ねえ、おにいちゃん、なまえなんてゆーの？」
「・・・・・俺は、
・
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・
・
・
・
____________・・・織田、織田作之助」
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あも(プロフ) - 雛烏さん» 返信遅れてゴメン…。有難う御座います！ (2016年10月18日 10時) (
レス) id: 4818e71010 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 緋翠さん» 有難う御座います！ (2016年10月18日 10時) (レス) id: 4818e71010 (このIDを非表示/違反報告)
雛烏 - やっとみれたよー!!頑張ってください!! (2016年7月28日 12時) (レス) id: 336d109612 (このIDを非表示/違反報告)
緋翠 - 面白かったです (2016年7月17日 3時) (レス) id: e994cc83cd (このIDを非表示/違反報告)
konoha(プロフ) - あもさん» 参加して下さりありがとうございます!見に来ました〜!これからも更新頑張って下さい!応援しています! (2016年6月5日 17時) (レス) id: 48215daa06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あも | 作者ホームページ：
作成日時：2016年5月23日 21時
