【妖恋物語:鬼編】人じゃない君に恋をした。【狩屋マサキ】 (ページ7)

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第陸話ページ7

「……本当か？」

冗談言ってるんじゃないだろうな。

「ああ、本当だ。しかし"悪魔さん"に会った人間はと喰われてしまうと聞くが……それでも行くのか？私は一切責任はとらんぞ」

「あ……」

忘れてた。

――とりあえず天馬くんに連絡を……

とポケットに手を突っ込む。そこにはあるはずのスマホがなかった。

俺こんなときに限ってスマホ忘れた(畜生!!)

――どうすればいい？

なかなか決められない。

「……」

悩む。必死に。

「ほらほら、早く決めないと"悪魔さん"が何処かへ行ってしまうぞ？そうなったら私でもわからなくなる」

「……」

そんなこと言われたって――

ふと、彼女の目を見た。

「さて、どうする？」

まるで子供をからかうように、なのに何処か必死げで、不安げで、

早く行くと言ってくれとでもいうかのように。

――どうしてそんな悲しげな目をするの。

俺は、どうしたらいい？

俺は、

俺は。

「……わかった。じゃあ連れていって」

「いいのか、喰われてしまうぞ？」

「居場所知ってるならお前も会ったことあるんだろ？だったら大丈夫………多分だけど」

まあ、そこは神頼みってことで。

――それに、本当に大丈夫な気がする。

勘とかじゃなくて、彼女の目を見れば。

今の彼女の目は、悲しげじゃない。何処か嬉しそうなんだ。

さっきの彼女と同じように、ニィ、と笑って見せる。

「ふふ、面白いなお前。今更だが名前は？」

「狩屋マサキ、だけど」

「マサキ……か。良い名だ。よし、ついてこい」

さっきより暗い路地に入っていく。

俺は彼女を追いかけた。

結論、俺は"悪魔さん"に会いに行く。

"それ"が近い未来、どういうことになるかも知らずに。

――もし、もう一度過去からやり直せるなら、

この時に戻ってやり直したい。

天馬くんに連絡すればよかった。

喰われたくないからと逃げればよかった。

会いに行くなんてことさえしなければ、

ずっと、"ただの噂"のままでいられたのに、

今、こんな思いをせずにすんだのに……。