【妖恋物語:鬼編】人じゃない君に恋をした。【狩屋マサキ】 (ページ30)

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第弐拾捌話ページ30

「……すまないマサキ。少し考えさせてくれ」

今すぐには決められない。否、決めたくない。

そんな曖昧な、しかも我が儘な私の答えでさえも、

「あ、うん。別にすぐ来いとは言わないから!!」

――君は笑って許してくれるというのに。

「じゃ、俺今日はもう帰るから」

人間の子供には、門限という、決まりがあるらしい。

マサキに教えてもらった。

「ああ、また。次会う頃には決めておく」

「わかった！」

どこか嬉しげに君は走り出した。

――男の子というものは元気だな。

マサキの姿が見えなくなるまで、私は彼を見ていた。

――マサキはこんな私を許してくれるというのに、

私は君に何もできないのだ。何もしてあげられないのだ。

――ああ、なんてもどかしい。

「……はぁ」

マサキが帰ってから、私は必死に考えた。

私の心の中は、マサキと一緒に居たいと叫んでいる。

でもそうすれば、私はマサキを"巻き込んでしまう"。

マサキだけじゃない、マサキの周りの人達も。

そうすれば私はまた、

大切な人を、友を、すべてを、失ってしまう。

――嫌だ。それだけは絶対に。

もう誰も失いたくない。マサキを、失いたくない。

しかし、私はまだまだ弱いのだ。

マサキを守ることが、できない。

ならば一体、どうすればいい？

どうしたら＿＿。

考えれば考えるほど、頭を抱える。

どうしたら、私はすべてをいい方向へ向けられる？

どうしたら、誰も失わずに済む？

ぐるぐると、巡る。

たくさんの可能性を考える。

しかしふと思う。

――こんな風に。

こんな風に、他人のことを考える日が来るなんて。

私は随分と丸くなったようだ。

昔は他人のことなんてどうでもよかったのに、

大嫌いだったのに。

「……どうやら、"寂しさ"と"優しさ"は人を変えるというのは本当のようだ」

と言えどもう私は人ではないが。

笑ってしまうわ。

――それにしても。

まだ会って２日も立っていない彼のことをこんなにも思う私は異常なのだろうか。

今度マサキに聞いてみようか。

――そして悩んだ果て、私の出した結論は。