【妖恋物語:鬼編】人じゃない君に恋をした。【狩屋マサキ】 (ページ18)

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第拾陸話ページ18

『また……会いに来てくれる？いつでもいいから……』

なんて。

どうしてそんなことを言ってしまったんだろう。

相手はただの"人間"なのに。

人間は、１００年も生きることができない。

いつ命が散ってしまうかもわからない。

"今の"私にとって１００年なんてものは、煌めく一瞬のことでしかないのに。

こんなの、ただの退屈しのぎでしかないはずなのに。

それでも彼――マサキに救いを求めたのはなぜだろう。

私を怖がらなかった人間だから？

笑いかけてくれたから？

――そうなのかもしれない。

私の口からこぼれた、友人になって。なんて言葉は、私自身が一番驚いた。

それはまるで自分じゃないような、そんな気がして。

でも、うれしかったんだ。初めての"友人"。久方ぶりのまともな"会話"。

この人なら、マサキなら。

そんな思いが頭の中になかったといえば嘘になる。

そして、交わした"約束"。

また会いに来てくれると、言ってくれた。

そんなことを言う馬鹿は今までに一人しか―――いや、一人もいなかった。

皆、私を恐れた。

化け物である私を。

恐れて、見ないふりをした。

時に、当たられることもあった。

死にかけたこともあった。

しかしそんなことは平気だった。

もう、慣れしまっていたから。

慣れたと思い込んでしまったから。

でも今ならわかる。

それは嘘なんだ。

本当は寂しかった。ずっと独りぼっちで、誰もいなくて。

ただひたすら光を探して、ずっとずっと闇の中でもがいてた。叫んでた。

――助けてください。

と。

その声は、誰にも届かないと思っていた。

というより、届いてないだろう。

マサキを見たかぎり、助けに来てくれたわけじゃないだろうし。

見つけたのは私自身だ。"見つけてもらった"わけじゃない。

――"悪魔さん"探しって言ってたなぁ。

結局、人は自分で助かろうとしない限り助からないのだ。

あの人の言う通り。

誰かが勝手に助けてなんてくれない。

それでも彼は"光"なってくれた。

本人は無自覚なんだろうけど。

――大切にしたい。

たった一人の友人だから。

「はやく…会いたい」

次はいつ会えるの、だろう。

明日が待ち遠しいのは一体何年、何十年振りのことだろうか。

しかしいくら待ち遠しくても、時間ははやくなってはくれないから、私は"いつも"ように、闇の中へ消える。

――さあ、"狩"をはじめよう。

『綺麗な銀髪は照らされ白く光る』