第２話 病院で ページ3
「それじゃあ、そろそろ帰るよ、兄さん」
「ああ、気を付けて帰るんだぞ、京介」
いつもの変わらない笑顔で心配してくれる兄さん。
「わかってる」
そんな兄さんを見ていると、俺も優しい気持ちになる。
兄さんの病室からでて、一階へ向かう。
――よかった。兄さんが元気になって。
俺の兄さんはある事故がきっかけで、足が動かなくなってしまった。
俺の、馬鹿な行動のせいで。
そんな罪悪感からか、ただの兄想いからか、俺は時間があれば兄さんのお見舞いに病院に通っていた。
最近、手術とリハビリのおかげで松葉づえがあれば兄さんは歩けるようになり、その笑顔も偽りではなく、本当のものになっていった。
――明日はケーキでも持って行くか。
たしか、先週、商店街ケーキ屋が出来たとクラスの女子が話していた気がする。
そこに行って――
「……！」
「きゃ！」
考えることに夢中だったらしく、人とぶつかってしまった。
しかもぶつかった拍子に相手が尻餅をつき、持っていた荷物を落としてしまっていた。
「すみません。大丈夫ですか？」
落としてしまっていた荷物を拾い、様子を伺う。
ぶつかった相手は女の人だった。
黄緑色の髪に緑色の瞳。
歳は、俺と変わらないか、少し上だろう。
「こちらこそすいません！ 前をよく見ていなかったもので……拾ってくださりありがとうございました。それでは」
彼女は立ち上がってペコリと頭を下げ、足早にその場を去っていった。
「……」
俺はただ声も出ず、彼女が去っていった方向を呆然とみることしかできなかった。
いつもなら、どうってことないことだったが、
今回はどうも気になった。
それは彼女の瞳が、
足が動かなくなってしまった、あの頃の兄さんの瞳に似ていたからかもしれない。
優しさの奥にある、悲しげな瞳。
「あの……大丈夫ですか？」
そう看護婦の人に話しかけられるまで、俺はその場から動けなかった。
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革ベルト
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冬夕暮紗夜(プロフ) - 京夜さん» 同じ好みの方がいらっしゃって嬉しいです！ ありがとうございます！ 12月までは中々更新できませんががんばります！ (2014年11月24日 15時) (
レス) id: f596d484e0 (このIDを非表示/違反報告)
京夜(プロフ) - 妖怪モノで、剣城くん･･･！めちゃくちゃピンポイントで好みです(笑)それ抜きにしても、とっても面白い作品です！頑張ってくださいね！！ (2014年11月24日 9時) (レス) id: 7c163a60cf (このIDを非表示/違反報告)
冬夕暮紗夜(プロフ) - はるはるっ！さん» ありがとうございます！嬉しいです(*´∇｀*) がんばります！ (2014年9月25日 19時) (レス) id: f596d484e0 (このIDを非表示/違反報告)
はるはるっ！(プロフ) - 曖昧な感じがいい！ 続き楽しみにしてます！ (2014年9月25日 3時) (レス) id: 8a50046673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬夕暮紗夜 | 作者ホームページ：
作成日時：2014年3月28日 23時
