第１２話 可愛い ページ13
黙ったままは良くないと思い話そうとしたとき、彼女は何を思ってか、
「……って私の方が年上なのに、敬語なかなか取れないなぁ」
唐突に、話を変えた。
えへへ、と笑いながら。
けれどもそれは誤魔化して、ムリをしているのがバレバレで、
これなら、俺が何か言って気を使わせた方がよかったのかもしれない。
「よし！これからは年上らしく振る舞えるように頑張るね、剣城くん！」
その言動自体が年上らしくないことに気づいていない彼女に、
笑ってしまいそうになったけれど、失礼だと思って堪えた。
――それにしても、
どうしてそこまで深い家庭の事情を今日会ったばかりの人間に話せるのだろうか。
そういう、性格の人物なのだろうか。
「あー……ごめんなさい、お兄さんのお見舞いがあるのに……私なんかを、送ってくれて。怒ってる……よね」
「……！」
謝られてしまった。
そんなこと、思っていないのに。
伝わらないことがもどかしい。
「い、いえ、気にしないでください。……それじゃあ」
――動揺した。
『私なんか』
その言葉が深すぎて、
そう言った顔が悲しげで、
見ていられなかった。
そしてどうしていいかわからず――素っ気ない態度をとってしまった。
――嫌われてしまっただろうか。
なんて、
「はい、また会えるといいですね！今度お礼がしたいで――したいなぁ」
やっぱりまだ敬語がとれていない。
そんな彼女が、
可愛くて。
「そうですね。そのときは兄さんを紹介します」
「本当!? 楽しみだなぁ。お兄さんも素敵な人なんでしょうね、じゃなくて、素敵な人なんだろうね〜」
――ん？可愛い？
とても俺の言葉とは思えない。
会って間もない人を可愛いって感じるなんて。
しかも、先輩。
「……剣城くん？」
「あ、すいません。大丈夫です」
何が大丈夫なんだ。
混乱している。
「なら、いいんだけど。気を付けてね、またね！」
「はい。また」
俺は病院に向かって歩き出した。
面会時間、間に合うといいが。
――そんな俺の頭の中とは別に、Aさんはというとずっと俺に向かって手を降ってくれていた。
それを嬉しいと感じる自分がいる。
今日の俺は、なんだかおかしい。
兄さんに相談しよう。
きっと、原因がわかるはずだ。
きっと。
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冬夕暮紗夜(プロフ) - 京夜さん» 同じ好みの方がいらっしゃって嬉しいです！ ありがとうございます！ 12月までは中々更新できませんががんばります！ (2014年11月24日 15時) (
レス) id: f596d484e0 (このIDを非表示/違反報告)
京夜(プロフ) - 妖怪モノで、剣城くん･･･！めちゃくちゃピンポイントで好みです(笑)それ抜きにしても、とっても面白い作品です！頑張ってくださいね！！ (2014年11月24日 9時) (レス) id: 7c163a60cf (このIDを非表示/違反報告)
冬夕暮紗夜(プロフ) - はるはるっ！さん» ありがとうございます！嬉しいです(*´∇｀*) がんばります！ (2014年9月25日 19時) (レス) id: f596d484e0 (このIDを非表示/違反報告)
はるはるっ！(プロフ) - 曖昧な感じがいい！ 続き楽しみにしてます！ (2014年9月25日 3時) (レス) id: 8a50046673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬夕暮紗夜 | 作者ホームページ：
作成日時：2014年3月28日 23時
