第１１話 無理をして ページ12
「あ、ここです。私の家」
Aさんはある一軒家の前で止まった。
その家を見ると、
――大きい。
ただその一言しかない。
１度天馬に連れられ神童先輩の家に行ったことはあるが……。
いい勝負というか、なんというか。
神童先輩の家が、西洋のお屋敷というならば、
Aさんの家は東洋のお屋敷といったところだろうか。
とにかく、大きくて立派な、木造建築。
「……」
凄すぎて言葉が出ない。
ただ呆然と突っ立っているだけしかできなかった。
それを見てかAさんは苦笑する。
「あはは……、大きいですよね、この家。私も初めて見たときは驚きました」
彼女の言葉に引っ掛かった。
「……"初めて"？」
この家の人間じゃないのか？
「あ、私元々この家の人間じゃないんです。父も母も早くに亡くなってしまって……。知り合いの家なんです、ここ」
なんでもないことに気づいたように、
さらりと、
動じることなく彼女は言った。
「……」
――まただ。
また、触れてはいけない傷口に触れてしまった。
こんなにも軽い口調で、言わせてしまった。
自分の浅はかな言葉に後悔する。
なんて、言葉をかければいいんだろう。
「……」
何も言えないでいた。
否、何も言わないでいた。
何を言ってもきっと気を使わせてしまうから。
無理をさせてしまうから。
兄さんがいつもそうであったように、彼女もまたそうなのだろう。
無理して、笑ってしまうのだ。
まるで、人形のように。
プログラムのように。
笑わなくてはいけないと思ってしまうのだ。
――自分より、自分なんかより、周りを、周りだけを見て、自分を殺して、殺し続けて。
決して本心を悟られまいと、笑うのだ。
かつて兄さんもずっと自分を殺し続けていた。
気持ちが溢れて、涙を流してしまうほどに。
多分彼女もそうだ。
この人は余りにも――兄さんに似すぎている。
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冬夕暮紗夜(プロフ) - 京夜さん» 同じ好みの方がいらっしゃって嬉しいです！ ありがとうございます！ 12月までは中々更新できませんががんばります！ (2014年11月24日 15時) (
レス) id: f596d484e0 (このIDを非表示/違反報告)
京夜(プロフ) - 妖怪モノで、剣城くん･･･！めちゃくちゃピンポイントで好みです(笑)それ抜きにしても、とっても面白い作品です！頑張ってくださいね！！ (2014年11月24日 9時) (レス) id: 7c163a60cf (このIDを非表示/違反報告)
冬夕暮紗夜(プロフ) - はるはるっ！さん» ありがとうございます！嬉しいです(*´∇｀*) がんばります！ (2014年9月25日 19時) (レス) id: f596d484e0 (このIDを非表示/違反報告)
はるはるっ！(プロフ) - 曖昧な感じがいい！ 続き楽しみにしてます！ (2014年9月25日 3時) (レス) id: 8a50046673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬夕暮紗夜 | 作者ホームページ：
作成日時：2014年3月28日 23時
