8.Looking for the lost cat ページ19
「Aー……」
「なんですか、松野店長」
「チビ助、そっち見つかったー?」
「いや、もう……まったく見当たりません……」
うっ、本当にどこに行っちゃったんだか。
ちっちゃな子猫がそう簡単には遠くへいけないだろうと少々高を括って探し始めたものの、一向に姿は見つからず捜索は難航してしまっていた。
はじめは、指定された通りの場所で探していたのだが、バックヤードの隅から隅……戸棚と壁の隙間は勿論、紙袋の中、ゴミ袋の中、ダンボールの中と開けるのに億劫な場所まできちんと確認したにも関わらず、猫の毛一本も見つからなかった。こんなに探して見つからないならもう店内しかないだろって言うわけで、店内隊の千冬先輩の元へやってきたもののこのザマだ。
「マジでどこにもいねぇな。建物の中にはいるはずなんだけど……」
「隙間とかも見ました?」
「見た。デスクの下も確認したし、他のやつのゲージも見たけどからっきしだわ」
「えぇー……これじゃエンドレスかくれんぼですよぉ……」
ぐすんと半泣きになった私に、千冬先輩が「呼びかけて返事してくれたらいいんだけどなー」と困り果てたように呟いた。
「動物ってやっぱ名前で呼んだら来てくれたり、顔見せてくれたりするもんだけどさぁ。如何せんここペットショップだし……こーゆーとき、飼い主が見つかるより先に名前つけちゃ駄目なの痛いんだよなぁ……」
「ですよねぇ……」
おチビのようにぺけランメンバー内だけで、通じるあだ名はあるが、家族探し中のワンちゃんネコちゃんの名前慣れを防ぐために基本私達は一匹一匹に名前をつけて呼んだりはしない。
だから、勿論あのアメショの子をいくらおチビと呼んでもチビ子と呼んでも、はたまたチビ助と呼んだところで、あの子にとってそれはどれも自分の名前では無いわけだから、一切返事をしてくれることはないのだ。
そしてそれは迷子の動物探しで聴覚に頼れないという、難関中の難関要素になっているわけなのだ。
はぁ……マジでホントにどうしよう。全然見つからないよぉ……連絡もないし、たぶんこの調子じゃあ場地先輩も一虎先輩も見つかってなさそうだし、いよいよ外に出ちゃった案件を考えなくちゃいけないのでは……?
子猫の安否すらもわからない、気が遠くなりそうな捜索に思わず天を仰いだとき、千冬先輩が突然「にゃー」と呟いた。え?
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ふゆう(プロフ) - つのさん» コメレスめっっっちゃくちゃ遅くなってすみません!!コメントすごく嬉しかったので3話程更新させていただきました!!暫くリベ夢から離れてしまっていたんですが、ちまちま更新しようと思うのでまたよかったら読んでやってください☺️ (2022年5月2日 23時) (レス) id: 05ce7d3c5e (このIDを非表示/違反報告)
つの(プロフ) - パレット・デイズってもう更新しませんか?めちゃくちゃ好きでもう一度読んだのですが続きがすごく読みたいです。お願いします! (2022年1月15日 0時) (レス) @page18 id: 3069a38d25 (このIDを非表示/違反報告)
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