女子自転車競技部に入れなかった私はしぶしぶ男子自転車競技部の入部を決意しました。

神奈川の疾風姫 ページ5

感じる……

現在の状況を把握
気候、温度、自分のコンディション、全てを客観的にとらえる

目的は男子から逃げること

それをとらえた上で………
……いける

貴「あ、あの……」

?「ん？」

貴「す、すみません……こんな事を言うのはダメだと思うんですけど……このまま勝負するつもりなら……すみません。貴方の負けです」

男の人は目を丸くする
それもそうだ
いきなり話し出したかと思えば勝利宣言
失礼極まりない

だが男の人はニヤリと笑った

？「知ってるかい？スプリンターは体が大きい方が有利なんだよ。学校まで残り約1km。ついでに男と女の体型差。勝負はもう決まっているとは思わないかい？」

そう言って男の人は僕を抜かして先行した

知ってる……
男女差があるなんて子供でも解る
体力において女子は男子に敵わない……

けれど……
そうやって決めつけられるのって、本当に……
どうしようもなく……

貴「……ムカつく、んだよねぇ」

目的変更、この人に勝つ

グリップを力強く握り、回転数をあげ、体勢も変える

この体勢は僕がまだ弱かった頃に勝つために編み出したもの

身体を限界スレスレまでに屈める
空気抵抗がないように低く、低く……

貴「さてと……」

男の人の後ろに張り付いた

チェック

？「結構距離あったはずなのにもう追いついたの？(さっきまでのオドオドとしていた雰囲気が消えてる……というかこのフォーム、何処かで見た気が……)」

貴「さっき言ったはずですよ。貴方の負けです、と」

？「これでも一応箱学のエーススプリンターなんでね、簡単には負けないよ！」

更にペダルを踏み込み引き離しにかかる男の人

まあ、それも想定内

貴「……来る」

僕もペダルを踏み込んだ
それと同時に風が吹いた

追い風が

相手にとっても追い風は有利
このまま大きくリードしてそのままゴール

けれど、残念

僕は風と友達なんだ

貴「ああああああああああ！」

ペダルを回す、回す
全力で

？「!?」

男の人を抜く間際、僕は思わず決め台詞を言ってしまった(ちなみに指差し付きである)

貴「Check mateだ」

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